梟の島

-追想の為の記録-

大分・別府市街散策(2):国内最古の木造アーケード,竹瓦小路。

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国内最古の木造アーケード。 2020.08.21 大分県別府市・竹瓦小路

 


8月21日,大分・中津での出張。その前夜は,海崎,津久見そして大在で工場夜景を堪能。翌朝は別府市街で建築物を巡る。

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216号線を東に進むと,竹瓦小路に到着。

 

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ちょっと嘘くさい入口のデザインである。このフォントにしておけば大正モダン風だろう,といった乱暴な感じがしてしまう。

※現地ではこのような印象を受けてしまったのだが,Twitterで頂いた情報によると,戦前のフォント・形状に近づけて整備したものだという。

→その後調べてみると2005年頃から整備が行われたようで,竹瓦温泉の文化財登録(2004年)の後だから,こういった文化財的な手続きが行われるのも自然な事だったのだろう。戦前の写真も見てみたいものである。

では一体,何に違和感をおぼえているのだろうか。壁部分の質感なのか,ディテールの隙の無さなのか,周囲の環境によるものなのか,あるいはこれが「ごく自然・当然」なもので自分の感性のみが狂っているのか。何らかのきっかけで古写真を見てみないことには解決できない,ちょっと大きな課題が出来た。

 

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実際にこの竹瓦小路は大正時代,1921年に完成した,日本最古といわれる木造アーケードだ。この手の商店街やアーケードを好む人なら知らない筈はない,超有名物件である。

 

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入口のすぐ横は駐車場になってしまっているが,その代わりに「裏」が良く見えて面白い。

 

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陰翳のアーケードへ,いざお邪魔しよう。

 

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ずらりと並ぶ,垂木と小屋梁。

 

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洒落た持ち送りもある。

 

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心なしか右下がりである。

 

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賛否あるだろうが,このボンボンみたいなライトが,竹瓦小路のシンボルである。

個人的にはあまり好みではない。そんな意識は,写真を数枚見れば明らかだろうが,なるべくこれを避けながら構図を作ってゆく。

 

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しかし何だろう。被写体の実際の外観によるものなのか,あるいは近代化産業遺産・登録有形文化財であることを認識しているからなのだろうか。何というか,こう,愁いのような,建物から訴えかけてくる「何か」が感じられないのだ。この建物は間違いなく本物なのだが,そういった点で,テーマパークに似た雰囲気を感じてしまった。古ければ必ずしも良い訳ではない,という事を,改めて感じさせられる。尤も,こちらの目が(おかしな方向に)肥えてきていたり,高望みをしていたりするのだろうが。

 

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竹瓦温泉側の道路からアーケードを見遣る。竹の瓦も目に留まる。

 

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1階の店舗には,引きの距離を保てないという理由もあるが,被写体としての面白みがあまり感じられない。新しく更新された店舗も多いので,つい木造の屋根架構ばかり見上げてしまう。

 

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とはいっても,薬局の痕跡など,見所・撮り所は点在している。

 

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メインストリートの店舗のうち一軒が内装工事中だった。

 

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ちょうど工事をしている物件は,T字の路地の角だった。ここを曲がると,新たな細長い路地が展開してゆく。屋根が青くなるので,路地のイメージが大きく変わる。

 

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いつでも青い空。

 

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メインストリートよりもむしろこちらの方が,アーケードとしてのリアルを感じられた。

 

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この路地を一度抜けると,このような外観だった。

再びメインストリートに戻る。

 

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横構図にも沢山の可能性がある。

自転車が何台か通過してゆく。恐らくは地元民と思われる40代くらいの男性に,工事中の店舗の前で「ここ何になるか知ってる?」と尋ねられたりもした。

 

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愛らしい喫茶店の扉とタイル。この1枚を撮るのに,なかなか酷いポーズを取らざるを得なかった。

 

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スナックと木造アーケード。四日市の「明るい商店街」こと三和商店街を彷彿とさせる色使いである。やっぱり路地といえば広角の横構図だなぁ…と思わせる写真が撮れて(記事最上部のアングルも),満足である。

 

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2階には室外機が並ぶ。

 

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今まであまりやって来なかった構図も,折角だから挑戦してみる。

 

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数十メートルの路地に,30分ほど滞在。なんだかんだ言って,久々に木造アーケードを撮影できた訳だし,しかもその「日本代表」の姿を撮影できたのだから,十分に満足だった。

 

この先は竹瓦小路の北側に広がる「夜の街」や路地を歩く。

その3(路地裏探索)へ続く。

 

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