日曜日。 2016.07.31 中央菓子卸市場
2016年7月31日(日)。愛知を巡る研究室旅行の初日だが,個人的にそそられる行先が無かったので,宿にチェックインするまでの間は別行動をとり,新幹線で名古屋へと向かった。協調性の無さと面の皮の厚さは筋金入りであるw
まっしぐらに目指したのは,名古屋駅から徒歩20分ほど,旧・明道町(現・西区幅下)の菓子問屋街に残る中央菓子卸市場である。
名古屋に来て,これを見ない訳にはいかない。
この芸術的な意匠は,もはや美しさを超越し,威圧的なほどである。
隅田神社の鳥居が隣接。
海老茶色の錆びたトタンと鳥居の組合せは,丸亀の一寸島神社を彷彿とさせる。
薄い看板部分と,重厚な躯体。その側面に軽く接する鳥居。隅角部は建物の傷みが激しい。
狛犬ならぬ狛鶏。
旧知の隣人。
細い参道。
参道を抜けると,かなり傷んだ建物の背面が見える。
その正面がこちらである。
究極のパッチワーク。
まさに時乃家。
その後,記事を編集している2021年までの間に各地を巡って来たが,このファサードの芸術点の高さは「全国大会」に出場できるレベルである。
しかしながら,この建物も1~2年前に解体され,跡地には高層ビルが建設されているようだ。惜しいものを失くしたが,探訪の時点で解体もやむなし,といった印象ではあった。やはりこの趣味は一期一会,二度目は無いと思って臨むべきである。
側面に回る。当時は辛うじて営業している気配があった。
建築家には真似できない芸術。
こちらが,中央菓子卸市場の裏側のファサードである。撓んだ装テンが今にも落ちてしまいそうである。
1軒でも十分な絵力なのだが,並びで見られるのが凄い。そしてその間は神社の参道だというのだから猶更。
看板部分の薄さが見て取れる。
道の対面にも似た意匠の建物がある。こちらもまた別の卸市場だろうか。3階の窓があることに驚かされる。
階段状のパッチワーク。
周辺には,名古屋らしい情景。
高速道路の通る超一等地とは思えない風情。
一帯は問屋街。
菓子問屋。閉業したと思しき鄙びた建物が多いが,現役の店も点在している。
街は静かだ。日曜日の昼間ということもあるのだろうが,人の往来も少ない。
揚げ出し豆腐と木の扉。
褐色の街角。
もう一度,中央菓子卸市場へ。参道とは反対側の側面は,のっぺらぼう。
凹凸のあるファサードは,鳩の格好の集会場。
色,材質,形,文字,そのすべてが美しい。
3階まで窓があり,建物はかなり大きいので,歩道からでは広角レンズでも全貌を捉えきれないほどである。
もう一度,隣の建物の背面を堪能。
隣の駐車場に少しお邪魔して,中央菓子卸市場の側面を見る。背が高い上に,明かり取り用と思しきの窓が乗っているのが見えた。
雷鳴が聞こえてきたので,これにて撤収。日曜日ゆえに中を見ることが出来ず,未練が残ってしまった。
この大きな未練をすぐに消化すべく,1ヶ月を開けず,晴れた平日にこの建物と街並みを再訪する事にした。
その2へ続く。
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