背の高い木造アーケード。 2016.08.23 中央菓子卸市場
2016年8月23日(火)。福岡での建築学会大会へ向かう道中で途中下車(当たり前のように書いているが,筆者は飛行機が嫌いなので,大分以北はすべて陸路を使う)。名古屋駅から徒歩20分ほど,旧・明道町(現・西区幅下)の菓子問屋街に残る中央菓子卸市場を再訪する。
▼その1はこちらから。
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4週間前に撮影したばかりなのだが,曇天だったこと,そして日曜日ゆえに中が見られなかったことで,大きな未練が残っていた。早速それを消化すべく,記憶の浅いうちに再び訪れることにした。
この日は快晴。そして平日だ。開いている!
錆びたトタンに,夏の陽光が眩しい。
wikipedia曰く,1951年頃に建てられたという。
中へ飛び込んだ途端,時空が歪む。木造アーケードの架構の美しさに息をのむ。
そして,段ボール箱から出された菓子がずらりと並んでいる。ここには業務用サイズの飴がたくさん。
幅は狭く,背が高い。剥き出しの蛍光灯,モルタルが落ちて木摺が剥き出しになったところもある。
戦後の空気感。
時間旅行にうっとりとする。
少し右に傾いているように見えた。
外はあれだけ晴れているのに,中は薄暗く,涼しい。
2階の窓の上にも小窓がある。まさか3階建なのだろうか。すごいな…。
更新されていない,純然たる昭和の世界。
足元にはお馴染みのものから,あまり流通していないものまで,色々な種類の菓子が陳列されている。
「慰安会」「嫁入」「婚礼用」などの文字列が,リアリティではなくリアルを教えてくれる。
道幅が狭いと感じていたのだが,この段ボールを全てどかしたら,実は結構広いのかもしれない。一般的な木造アーケード市場よりも一回り大きそうだ。
屋根のポリカ波板を透過した光が,空間をブルーグリーンに染める。
蒸し暑い8月の昼。
平日の真昼間の,静寂。
トラスは右側の上弦材がダブル,左側がシングルで,束の上でボルト留めされている。木造アーケードの架構の造り方は多種多様で面白い。
妻壁。
繰り返される日常。
棟木が通りの芯から少しずれているのは何故なのだろう。向かって左側のほうが背が高いようだが,もしかすると建設時期が異なっていたりするのかもしれない。
やみつきになる美しさ。
全容。
ステンドグラス。
次の記事では,周辺の街並みと市場内のディテールを紹介する。
その3へ続く。
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