梟の島

梟の島 -叙情的叙景詩-

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五能線キハ40,最後の秋(4):鶴泊~板柳,虹と雲と国鉄型と。

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晩秋の荒野をゆく。 20.10.30 五能線 鶴泊~板柳
 

2020年10月30日(金)。10時からの現場調査の前に,五能線の「朝練」を遂行する。一番列車・822Dに弘前から乗車し,鶴泊へ。鶴泊~板柳で,朝の4連821Dと快速3524Dを撮影してきた。

 

さて,3本目の撮影を考える。やはり岩木山バックの側面構図は期待できなかったので,陸橋から500mほど鶴泊に戻ったあたりで,線路脇の田圃の畦道から,望遠気味で「顔」を撮りに行くことにした。

 

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移動中にまた虹の根元部分が現れた。今度は左右の両方が見えた。この後さらにダブルレインボーになりかけたが,撮影は間に合わず。

線路脇の築堤部分の雑草は,褐色の中に赤や橙が混じっており,秋らしい装いである。画角を微調整し,2823Dを待つ。

 

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いざやって来た2823Dは,野生動物のような存在感を放ち,こっちを見ていた。

 

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強風に千切られた雲がものすごい速度で流れてゆく下を,力強く駆け抜ける。

 

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後ろを振り返ると,期せずして側面に東の明るい空が反映し,やわらかい「ギラリ」が見えた。

 

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嵐の朝,弘前への旅はまだ長い。

 

さて,現在地から鶴泊駅までは1.8km,乗車する825Dの出発までは22分。相変わらずの早歩きで来た道を戻り,出発3分前に駅に到着。するとまたもや雨が降ってきた。

鶴泊駅はかつて味のある古い駅舎があったのだが,ちょうど1年ほど前に更新されてしまっていたので残念だった。雨はすぐに上がったので,ホームで待機する。

 

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列車は薄い虹の根元を背に,ゆっくりと接近してきた。

 

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3連の鋼鉄車がゆっくりとブレーキを掛け,ホームに滑らかに滑り込んでくる。

 

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スナップショットを数枚撮影して,2両目に乗り込む。

 

五能線キハ40,これが惜別乗車である。

昨日の調査への往路,会津若松~喜多方間で初めて乗車したGV-E400の車内は,まるで新しい総合病院の待合室,歯医者,無菌室,といった形容が相応しいような雰囲気で,旅情をかきたてるものとは程遠い設えになっており,改めて愕然とするとともに強く落胆してしまった。やはり国鉄型の気動車には人間味のような温かさが感じられて良いものだと,つくづく感じさせられた。内装の意匠で言えば,新津の青モケットが好みだったのだが,五能線のモケットカラーも(JR西のそれとは違う)オリジナル感があって良い。そして何と言っても,やはりこの「最果て」を走るという文脈的な美しさが付加されるのが,五能線の魅力なのだ。惜別乗車は海の見えない区間だったが,これまでの旅を脳内で振り返り,何とも言えない感情になった。

通勤時間や学校の始業時間を少し過ぎているため,車内はかなり空いていた。

 

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川部での数分の停車中には,再びホーム撮りを試みる。未明の撮影時には,隣のホキの存在に気付いていなかった。

 

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この窓枠の美しさは,鋼鉄車ならではなのだが,車体が白系だからこそ更に引き立つものなのかもしれない。臨場感のある視点の高さで切り取ってみる。

いよいよ最後の2駅。撫牛子を経て,終着の弘前に到着した。

 

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デッキから客をホームに吐き出す,40歳の気動車。地方都市の日常風景はどうにも愛おしい。

 

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朝の仕業を終えて,一休み。

 

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尾灯,側灯,赤信号。

 

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ちょうどいい位置で並んで停まっていたので,701系とのツーショット撮影。701系ですら古参の部類に見えるようになってきてしまったことに驚く。同世代の車両には自分をついつい投影してしまうが,ずいぶんと古くなったものだ。「先輩写真撮りましょうよ」と40に話しかける後輩701のイメージが脳内で完成してゆき,微笑ましくも涙を誘う光景に感じてしまった。

 

こうして,午後からの本格的な撮影の前に「挨拶」を済ませ,朝練は終了である。ちなみにこの時,反対側のホームに試運転の五能線用GV-E400が入線してきたのだが,悔しさと虚しさがあるので,撮影はしなかった。

 

その5(鳴沢~鰺ケ沢,荒海を背に)へ続く。

 

 

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