梟の島 -叙情的叙景詩-

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常陸太田散策(4):鯨ヶ丘の名所「板谷坂」とその周辺を歩く。

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板谷坂。 2022.01.10 常陸太田

 


1月10日(月祝)。年始一発目の水戸出張の前日,午前中に出発して,常陸太田へ向かった。まずは駅前の山下町と木崎二町を歩き,木崎坂,下井戸坂,杉本坂を歩いた。

▼その1はこちらから。

anachro-fukurou.hatenablog.com

杉本坂を登りきり,呼吸を整える。どんよりと曇った空が微かに光り始め,やがて雲間から午後の陽光が柔らかく差し込んできた。

 

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鯨ヶ丘には2本の道が南北に走っている。そのうちの西側が293号線である。ここはまた後で歩こう。

 

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東側の道が33号線,地図上は棚倉街道,街灯の表示は「東通り」である。

 

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あづま。

 

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Twitterでお馴染み,コンクリート製のゴミ箱。

 

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和菓子屋「なべや」。

 

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そういえば,昼食にありつけていない。最中と,名産のちまきを購入した。

 

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女将さんと二言三言会話をした。この建物はかつて町役場として使われていたという。

 

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菓子屋はの南側に,私有地のような道があった。

 

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自分より低いところにある街灯に違和感を覚える。名も無き坂にも「東通り商店街」の文字があるのが不思議だった。

 

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要素の混在。

 

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この辺りは「東三町」。

 

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少し更地が見られたが,それでも街並みは立派だった。

 

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293号線,33号線,下井戸坂との分岐点に戻り,今度は293号に入る。

 

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ちらほらと蔵が見られた。石蔵もあれば,土塗壁の蔵もあった。

 

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杉本坂との交差点,すなわちこの記事の冒頭で居た場所に戻ってきた。

 

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2巡目のような形になるが,東西の道を歩き,東通りへ。

 

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一巡目よりも,だいぶ青空の面積が大きくなってきた。依然として太陽はちぎれ雲との攻防を繰り広げていた。

 

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そして東通りから東に下る,板谷坂(ばんやざか)へ。もちろん一巡目でもここを通っていたのだが,曇っていたので,晴れるまで周辺を散策して時間を潰していたのだ。その目論見は見事に上手くいった。

自転車で散策している人がここで撮影をしていたので,挨拶を交わした。「なかなか晴れなかったので時間潰してたんですよ」「ちょうど晴れてきましたね,良かったですね」などと会話した。Twitterやってるんで良かったら…という言葉が喉元まで出掛かったところで,そんな手前味噌が恥ずかしく感じられ,すぐに飲み込んだ。

 

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文化持ち送りも見えている。

 

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眼下の街並み。

杉本坂と板谷坂,頂上と頂上を結ぶと所詮40mほどである。鯨ヶ丘がいかに幅の狭い,細長い街であるかが感じられる。

 

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急坂に建つ象徴的存在。

 

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折角蓄えた位置エネルギーを解放してゆこう。

 

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坂の途中には,廃屋のような建物があった。

 

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錆。

 

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「小山ビューティーサロン」からも気配は感じられなかった。

 

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坂の下を歩くときりがないので,すぐさま戻り,馬の背に上り直した。

 

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1月。気付けば影が長く伸びていた。

 

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ずっと撮影していられる,ずっと眺めていられる,そんな場所である。もう少し太陽の高い季節の昼下がりが,恐らく光線状態としては最適なのだろう。

ところで街歩きを趣味とする人々の中で,私ほど光の向き,強さ,色というものに拘泥している人は居るのだろうか。みな敢えて言及しないだけで,計画の段階から意識はしているのだろうか。それとも写真趣味の原点を鉄道に持つ私が異常値なのだろうか。どこかを散策するにしても,時間が許すのであれば,たとえば午前中に西側の街並み,午後に東側の街並みを撮りたいと考えてしまう。どうやったって強烈な逆光の中では,その街並みや建築の純粋な魅力を十二分に感じ取ることは出来ないと思うのだ。陰翳にせよ発色にせよ立体感にせよ,その「もの」が持つポテンシャルを引き立たせるのは,正しい光だと思う。どれだけ美味い料理も,温かく食べるか,或いは冷まして食べるかで,味は全くもって別物になるのだから,それと同じ事である。時間が許すならば,適温にしてから食べようと思うのは,私にとってはごく自然な発想なのである。どうせこの際限のない趣味において,二度同じものを口にする機会というのはほぼ存在しないのだから,たった一度の機会のためにその些細な手間を惜しみたくはない。

 

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そういう訳で,ここで晴れてくれたのは,本当に僥倖であった。

 

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山形屋商店。

 

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また曇った。ホワイトバランスの設定変更が忙しない。

 

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いやに大きなファサードに不釣り合いなロゴマークには,Ibaraki Linen Supplyと書かれていた。企業の倉庫だろうか。

ここはその昔,亀宗(かめそう)という衣料品チェーン店だったらしい。1853年に亀宗呉服店として創業し,県内外に数多くの店舗を展開していたが,バブル崩壊後に多額の負債を抱え,1997年に倒産したという。

 

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隣も嘗ては衣料品店だったようだ。5階まで窓があるのが凄い。窓ガラスではなく,鋼製の建具が嵌められているようで,何ともおどろおどろしい雰囲気すら感じられる。

 

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元「亀宗」の南に路地があったので,歩いてみた。

 

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何だこれは!

 

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突如として静寂が一段階深まったように感じられた。風に揺れる竹の葉の乾いた音が,寂寥をいっそう助長させた。

 

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割烹旅館「若柳」だったらしい。この邂逅にはただただ驚くばかりであった…。

 

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その正面には,先程の5階建の伊村洋品店(衣料品店の前は洋品店だったという事がここで分かった)の駐車場となっていた。

 

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若柳の横から,東へと下る階段があった。

 

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とにかくこの街からは,音がしない。何というか,静的なのだ。冷然とした冬の空気が,静けさを更に際立たせているように感じた。

 

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階段を下ると,その横には「金が井」という井戸があった。鯨ヶ丘では飲料水が不足がちだったが,「太田七井」と呼ばれる湧水が付近の民家一帯を潤していたと,比較的新しい説明板に記されていた。

 

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ストリートビューには無縁の路地をゆく。

 

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言語化するのが難しい,絵画的な魅力を感じる一角。その魅力をこの一枚に託すべく,シャッターを切った。

 

その5へ続く。

 

 

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