梟の島 -叙情的叙景詩-

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長崎散策(6):西町中央市場,夕刻の日常に滑り込む。

市場。 2022.08.02 長崎

 


8月2日(火),長崎出張当日。仕事の無い午前は日新ビル,岩永市場を巡り,館内町,十人町,中新町の階段を歩いた後は,銅座町・船大工町の歓楽街,丸山町の検番裏の一角を散策した。

▼その1はこちらから。

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仕事が終わるや否や,電気軌道に乗り岩屋橋駅へ。目指すは,とある市場である。

 

田中寝具店,岩屋橋駅からの道中にて。

 

目指したのはここ,西町中央市場である。google mapで偶然見つけた物件だ。

 

素晴らしい外観だ。内部は全く下情報が無いので,期待を込める…。

 

いざ中廊下。天井高がかなり低めだ。

 

道幅も広くない。鄙び具合と薄暗さ,実に魅力的である…!

 

原色の牛。

 

奥からは営業中の店の気配。

 

何処かに似ているようで,何処にも似ていない。

 

正面入口側から続く店は,ほぼ廃業した様子だった。

 

最奥部の青果店が営業中だった!18時直前,もし営業中の店があるならばもしかすると間に合うかもしれない,その淡い希望が叶った。ご主人に挨拶し,お話を伺う。

 

ご主人の話によると,市場と建物はちょうど60年前に作られたとのこと。

 

荷物置場。

 

かつては18店舗あったが,現在は2店舗のみが営業中であるとのこと。

固定客相手だけでは難しく,給食や配達などを手掛けることで,何とか細々と商売を継続できるのだという。

 

店じまいの片付けをしているご主人は温かく優しい方で,ボトルコーヒーを頂いた。「払いますよ」と言うと「売り物ではない」と。有り難く頂戴した。

 

「やっぱり総合施設に行くと買い物は楽しいからね」と話されていたのが妙に印象に残った。色々なものを選ぶ,選ぶのに悩むという行為が,日常でありつつ非日常的で楽しい,ということだろう。

 

しかし平成生まれの私からすると,専門店への憧れというものが非常に強く存在している。何でもひとところで手に入る時代への懐疑心は,幼いころから抱き続けてきた。

 

だからこそアーケード商店街は大好きだし,此処も永遠に続いて行って欲しいと切に願う。

 

物置のシャッターは海老茶色。これが閉まると,雰囲気がぐっと変わった気がした。

 

青果店のご主人が廊下の蛍光灯をスイッチで消してゆく。隣家に扉越しに声を掛けた後,「じゃあ,お疲れさん」と私に言って最後の一枚のシャッターを閉め,店内に消えていった。

 

かくして市場の一日が終わった。

 

蒼白,赤の印象。

 

静かに明日を待つ。

 

ごく稀ではあるが時折,歩行者が抜けてゆく。

 

肉屋の所だけ,色の印象が強い。

 

18時15分を過ぎたが,外は未だ明るい。

 

市場の中だけに夜が訪れていた。

 

建具の向こうには,人の暮らしがある。

 

実に良い空間で,その日常の一部に混ぜて貰えたことが本当に嬉しかった。

 

裏側の外観。台風の被害の後に装テンを掛け替えたので,その時点で営業していた3店舗の名前のみが入っているという。

 

2階の窓の中が気になる。

 

横には生活動線。

 

緑との共存。

 

温かい充足感とボトルコーヒーとともに,市場を後にした。長崎駅から少し距離があるところを,無理矢理訪れて本当に良かった。

流石は長崎の夏,既に18時半だというのにまだ明るい。そこで駄目元でもう一箇所欲張って,リストアップしていた市場を訪れてみることにした。

 

その7に続く。

 

 

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