梟の島 -叙情的叙景詩-

-叙情的叙景詩-

羽越本線沿線散策(27):野潟の海岸で日没を見送る。

望洋,沈思。 2022.08.28 野潟

 


8月28日(日),酒田出張の前日は,羽越本線沿線へ。午前中は碁石,鼠ヶ関~府屋を歩く。昼食の後,午後は桑川駅から歩いて2駅南下,間島を過ぎて野潟の集落を抜けた。

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大月を目指してはいたが,日没が近い。

 

テトラポットは日没を眺める観客席,あるいは群衆のよう。

 

影は黄金色の2車線を横断する。

 

海府ふれあい広場に到着したところで大月を諦め,最後は日没を海岸で見送る事にした。駐車場には夕日を眺める人が何組か居た。一人になる為に,海岸線を北に歩くことにした。

 

もう太陽高度は5度以下だというのに,直視できないほどの眩しさだった。

 

壁面に投影された自分が,此処に居た証。

 

千切れ雲の輪郭が山吹色に縁取られ,北西の水平線には粟島の影が隆起する。

 

墓地も染まる。

 

更衣室。海水浴場だったのだろうか。

 

心象風景が再び目の前に現れた。この日の日本海は随分と優しい色彩に充ちていた。

 

船小屋が並ぶ。

 

黄色のスポットライト。

 

最後の陽光が,揃って西を向いた船小屋の妻壁を染める。

 

海岸線にこんな景色があったとは知らなかった。

 

赤く染まれ。

 

錆色を際立たせる時間。

 

陽射がいよいよ力を失いつつあった。

 

波の音に振り返る。

 

浮雲の輪郭が曖昧になった。

 

緩い階段を下り,砂浜に立った。

 

いよいよ入日を直視できる時間が来てしまった。

 

海に注ぐ小さな川を飛び越えた。

 

波打ち際に砕け散る。

 

砕けた波濤が一瞬,太陽を隠す。

 

その度にドーン,ドーンと,低く重く恐ろしい音と振動が胸を撞く。

 

ついに太陽は着水してしまった。

 

みるみるうちに真円は半円になり,半円は小さな点になり,一閃の煌めきを見せて水平線に溶けていった。

 

行ってしまった。己だけが海岸に取り残されていた。

 

否,己の他にも取り残された奴が何人か居た。

 

人の居ない海岸線で日没を見送った後は,流木になった心持になる。

 

太陽が不在になると,たちまち空も海も褪色を始めた。

 

25km以上歩いた覚束ない脚で砂を踏みしめる。

 

海岸の3人組に別れを告げた。

 

 

黝い海面が蠢く,黄昏であった。

 

野潟の集落に戻る。

 

薄暮の集落を抜ける。

 

間島駅へ戻るともう,すっかり夜だった。

18時59分発の列車で間島を発ち,一路酒田へ。これが酒田への最終の鈍行である。夕食は桑川のパン屋で買ったパンを食べた。美味だった。

酒田には21時に着。涼しい夜風を浴びながら更に1kmほど歩き,旅館に到着。すぐ近くのコンビニで水と酒とつまみを調達してから風呂に沈み,徒歩30kmの旅の疲れを癒した。長い長い,充足した一日であった。

 

酒田・最上屋旅館に続く。

 

 

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