梟の島

-追想の為の記録-

福井県小浜市:明通寺,国宝本堂&国宝三重塔に大興奮。

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壮麗な国宝本堂。2019.11.23 小浜・明通寺

 

2019年秋,小浜の文化財建築を巡る旅,第4弾である。

▼第3弾・神宮寺はこちらから。

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さて,そもそも今回の旅先に小浜を選んだのは,久々に文化財をプライベートでも見に行きたくなり,特に未だ見ぬ国宝の仏堂や塔婆を開拓したかったからである。また紅葉の美しい季節だからという事であれこれ調べていた際,湖東三山と抱き合わせるなら…そうだ明通寺本堂と三重塔を見ようではないか,というきっかけで白羽の矢を立てたのだった。

神宮寺を発ち,山筋を一つ変え,本日の「メインディッシュ」明通寺へ。車でのルート選択は特に駐車場近辺で確証を抱きづらく,道を間違えてしまったかと思うほどであったが,いざ到着してみれば駐車場も十分な広さがあり,先客の車が数台停まっていた。
階段を上り,三門の傍らには鮮やかな黄葉と鐘楼。まだ13時前だというのに,一帯を照らす陽光は随分と黄色く,景色を有機的に染めていた。

 

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受付を超えると緩やかな階段の向こうに,国宝本堂の姿が黄葉の隙間に垣間見えてくるが,視界が抜けない。ようやく登り切ろうかといったところで,壮麗なシルエットが露わになった。これまた,大きい。引きが取れない分,その規模に圧倒された。

 

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そして次の瞬間目に飛び込んでくる,これまた国宝の三重塔。

 

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子供のようにはしゃいだ心持ちだったが,お坊さんが本堂内で説明をしてくださるというので,ついてゆく。最終的に我々のほかに子連れ家族ともう一組ほどが同席するような形となった。

 

本堂は1258年,三重塔は1270年に再建。どちらも檜皮葺の,極めて雰囲気のある建物だ。特に本堂の向拝部分は,軒の傾斜がかなり緩やかで,棟から軒先への屋根勾配の,まるで毛筆の払いのような,流れるシルエットが美しい。

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木々が多いため雨も掛かるのだろうか,柱や組物,垂木の一部に苔が付いており,維持管理的な目線からゆくと少々不安も感じたが,美的感覚からゆくとこれは素晴らしいトッピングであった。

 

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三重塔は本堂よりも少し高い所にある,お馴染みのパターン。湖南の常楽寺を少し彷彿とさせる。

 

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こちらもだいぶ肌に緑色を纏っており,雰囲気としては最高なのだが少々不安にもなる。(まあ国宝指定されていれば大丈夫だろうと思うが…)

 

最後に,人が構図に入らなくなるのを待ち,ギリギリ引けるだけ引いて,本堂正面の撮影を敢行。APS-Cの12mmでもほぼ限界であった(撮影写真は記事最上部のものである)。

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蔀の四角と,全体の水平方向への印象の強い,素晴らしい建造物だった。

名残惜しさの中,心の中で再訪を望み,国宝2棟に別れを告げた。

 

蓬嶋楼へ続く。

 

小浜市の古刹はこちらから。

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