(stripes.)
古い写真を引っ張り出してきた。某年某日,某県の「Rマンション」の探訪記録。
タイトルに廃マンションと書いているが,実際に住居として利用された後に廃墟になった訳ではない。建設途中に放棄された物件である。ネット情報によれば1993年に工事が頓挫し,そこから20年以上が経過しているという。
時代に命を与えられ,中途半端に命を奪われた,悲運のコンクリート塊。今も閑静な住宅街の中に,ひっそりと建ち続けている。
その姿から「軍艦マンション」と呼ばれることもある物件。素早くアクセス。
剥き出しの躯体。落書き等は見当たらず,残存状態は良いと言えるだろう。
無機質な空間に,差し込む陽光の帯。
剥き出しのコンクリート階段に誘われるように,上階へ。
自然と人工物の融合が始まっていた。
屋上部分(といってもここが最上階となる予定だったとは思えないが)に出る。隣棟越しに,海を見下ろすことが出来た。この隣棟にはアクセス不可能だった。
夕月と廃墟。
鉄骨鉄筋コンクリートの遺構。
光と影。
墓標のような,シンボリックな鉄の「十字架」と。
穴を覗き込むと,不思議な三角形の空間があった。
日は次第に傾き,辺りは黄色く染まってゆく。
その2へ続く。
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