梟の島

梟の島 -叙情的叙景詩-

-叙情的叙景詩-

Rマンション(2):忘れ去られた部屋へ。

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(忘れ去られた部屋。)

 

某年某日,某県の「Rマンション」を訪れた。

1993年に工事が頓挫し,それから20年以上,建設途中の状態で放置されている悲運の廃マンション。その威容から,「軍艦マンション」とも称される物件である。

前の記事では,アプローチしてから屋上空間に出るまでを纏めた。

anachro-fukurou.hatenablog.com

日没が徐々に近づいてくる中,再び室内空間の探索を始める。

 

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コンクリートの青灰色は,侵略者の緑と美しく調和する。

それを狙って,生ける建築の設計が為されることも多い。

 

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灯の骸。

 

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ほぼ何もない空間の中で,ひときわ存在感を強く放つ椅子。

ぶらさがったペンダントライトと椅子をぼんやり見ていると,何やら首吊りのような,不気味なイメージが頭を過る。

 

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一見すると,ミニマルな情報量で余白の大きい写真。図学的には雑誌の表紙にでもなりそうな構図なのだが,ここはそのような「オシャレ空間」ではない。

なぜ広めの構図に魅力を感じて,シャッターを切ったのか。背景となる壁が,年月を経た人間の「皺」のような表情を持っているというのは一つ大きな要素だろう。無地のキャンバスであってはこうは行かない。そしてペンダントライトの「骸」と,散らばったスポンジ,打設されたままの汚れた床といった構成要素たち。注意して見ると,この構図は,決して情報量が少ない訳ではないのだ。その美に瞬間的に気付き,絵として残すことが出来たのは,訓練の賜物でもあり,感性の為せる業でもある。

こういった要素を(自覚的・無自覚的に関わらず)見るということ,改めて丁寧に言語化しようとすること,そして次なる機会に新たなものを見ようと目を凝らすこと。いずれも,世界を拡げる為の有意義な行動である。

 

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翳の部屋へ,吸い込まれるように歩を進める。

 

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時間軸上で「凍結」されてしまった,生ける屍。

 

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時折吹き抜ける微風に,ゆらりゆらりと揺れていた。

 

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夕暮れの街を見下ろす残留物たち。

 

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黒く潰れてゆく。

 

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居室になる筈だった,がらんどうな空間。

 

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生活者の気配を感じ,少し背筋が凍る。

 

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何者かによってセットされた,虚構の部屋。

残留物が少ないからこそ,一つ一つの物たちが不思議に強烈な存在感を醸し出していた。

 

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階段室は,既にとても暗かった。
 

その3へ続く。

 

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