梟の島

-追想の為の記録-

青森・尻屋崎にて,寒立馬に挨拶。

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北辺に生きる。 18.08.04 尻屋崎
 

8月1日,博論の審査用最終版を提出し,2・3日はハードカバー製本の準備を完了。論文作業の合間を縫って旅程を組み,撮影の準備を終えていたので,満を持して8月4日,7ヵ月ぶりに東京を飛び出した。

2014年5月5日,地震で遅延した列車と同時刻の列車であることに道中で気付いたが,今日の列車は何事も無く東京駅に到着。いざ乗車した新幹線では,右前の3人掛けの座席に陣取った子連れの母親が徐にマニキュアを始めたのに愕然とした。これが車中の最も強烈な思い出か。大宮にて,車内は既にほぼ満席になっていた。うとうと寝ているうちに,あっという間に八戸に到着してしまい,新幹線の暴力的な早さを痛感する。八戸駅では翌日の乗車券などを購入。この影響で大湊線直通の「快速しもきた」への乗り換えが遅くなり,そして何故かこの列車が2連ではなく単行だったため,車内は大混雑であった。キハ100の最後尾の窓前を確保し,後方かぶりつきでゆっくりと楽しんだ。

本線内は軌条のクオリティも高いため,列車は安定して滑らかに走行してゆく。しかし大湊線に入った瞬間から線路の規格が落ち,明らかにジョイント音が大きくなるなど,走行の挙動に顕著な差が感じられた。吹越(ふっこし)を過ぎたあたりから景色が大きく開け,海岸線,浜,ハイマツ林,線路のみが視界に広がる。風力発電の風車も遠くに点在している。とにかく所謂本州のそれとはまったく異なる景色だった。小雨がぎりぎり降りそうで降らないくらいの際どい天気の中,列車は11時すぎに下北に到着した。

まずは薬局で水を購入した後,レンタカーを調達しに向かう。間違えてニッポンレンタカーの受付で暫く手続きを待ってしまい,慌ててトヨタレンタカーへと移動。恥ずかしい。白のヴィッツに乗車するも,何故か逆方向に出発し,再び慌てて道を戻るなど,旅の勘が戻らずバタバタしたスタートであった。

途中割愛。既に計画が押しに押しまくっているので,急いで尻屋崎へと向かった。ほぼ信号にも引っ掛からず,ノンストップで到着。ゲートの手前で駅弁の肉にぎりを食してから入場すると,いきなり馬1頭がお出迎えをしてくれたのだが,その後ほかの馬には出会うこともなく,海沿いをひた走ると程なくして灯台が姿を現した。そして,ちょうど灯台の少し先に,寒立馬がたくさん集っているのが見えた。

まずは車を止めて灯台の最上部へと登る。

 

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灯台の名前は尻屋「埼」灯台灯台の名前には「埼」の字が用いられる。

 

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荒天の空が,おどろおどろしい。

 

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128段の階段の蹴込の部分には,10段ごとに「あと何段,頑張れ」のような応援コメントが書かれていたのだが,中盤以降はこの文言が雑になってゆき,やや脱力したw

 

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カンテラ

 

最上部に到着すると眺望は予想以上に大きく開け,吹き抜ける風がとても強く,立っているのに力を要するほどだった。

 

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立馬たちを見下ろす。

 

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草を食む。

 

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南を見る。岬の付け根を突端から見るのは面白い。

 

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最果ての地。

 

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再び地上へと戻り,灯台前での記念撮影を終え,満を持して馬たちに挨拶である。単独行動の1頭のほかは,既に内陸側に移動してしまっており,ゆっくりと草を食べつつ歩行中。近くで見るとその躯体は案外大きく,少々怯んだ。管理人はだいぶ馬慣れしている(馬が管理人慣れしている)のか,バシバシと触れていた。

 

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植物をふみふみしている白い馬,鬣が明るい茶髪のチャラい奴など,個性があって面白い。

 

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黙々と食べる。

 

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誰に誘われるわけでもなく,みんなで海岸線から遠ざかってゆく。既に日没が近付きつつあるので,「家」に帰ろうとしているようだ。きっとこれが彼らの日常なのだろう。

馬たちに別れを告げ,入口とは逆側のゲートまで車を走らせると,何とゲートが既に閉まっているではないか。どうやらこちら側は15時45分で閉扉してしまうらしい。ゲート内に取り残されるととても厄介なことになるらしいので,慌てて来た道を戻ると,馬はほぼみんな居なくなっていた。17時まで開いている元のゲートまで戻る途中,水を飲む愛らしい馬たちに再び遭遇できた。これはこれで不幸中の幸いであった。

 

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今度こそ馬たちに別れを告げ,尻屋崎を後にした。

 

袰部・猿ヶ森,下風呂温泉へ続く。

 

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