名も無き商店街。 2021.06.16 田村市大越町
6月16日(水)。郡山での出張調査の前日に,福島県内を散策することにした。先週の水戸出張と同様,当日入りでは都内の通勤ラッシュに重なってしまうし,新幹線の車内も混雑が予想されるので,それを回避する意味で前泊を選択した格好である。12時ちょうどの東北新幹線やまびこ号に乗車。正午発の東海道新幹線はのぞみ号だが,東北方面はやまびこ号。格下の特急があてがわれているのが少し面白い。郡山までの所要時間は1時間15分程度。少しうとうとしているうちに列車はあっという間に関東地方を飛び出し,福島県に入っていた。白河から須賀川のあたりまでは晴れていたのだが,郡山に接近して減速を始めた頃から,車窓には暗雲が垂れ込めはじめた。天気予報を見ると,これから訪れようとしている田村市には大雨警報が発令されているらしく,郡山も15時頃から降雨が予想されていた。レンタカーの手続きを終えて出発しようというタイミングで,ぽつりぽつりと小雨が降り始めた。
まず目指すのは,磐越東線・大越(おおごえ)駅の近くの街並みである。早々にカーナビの左折案内を通り過ぎ,道を誤ってしまった。無事に遠回りせず元のルートに合流できるかどうか不安なタイミングで,googleのカーナビが「左方向です」とつぶやいた矢先,「1.5km先 ドウナリです」と訳の分からない言葉を発したので,大慌て。数秒ほど冷静に考えて,これが「道なり」の誤読だと気付いたのだが,一体何なんだろうかww その後「ドウナリ」と誘導されることは1回しか無かったので,特定のキロ数と組み合わさった場合に発動するプログラムのミスなのだろう。結果として最初の左折のミスはほぼ無傷で,言われるがまま「ドウナリ」に進むと元の経路に合流できた。
郡山から大越までは,車で40分近く掛かる。磐越東線の線路からは大きく南に離れた県道57号線を,ひたすら東に走る。中通りの車はしっかり法定速度を遵守する印象である。カーブの多い山間いの道で車間を詰めてくる会津とは大違いだ。57号線は道幅の割に交通量が少なく,運転しやすかったのだが,途中で豪雨となり,何回か雷鳴が聞こえるほどだった。幸い大越に近付くまでの間に雨雲の中心部とすれ違い,大越体育館の駐車場に着くと,傘が要らない程度の小雨になっていた。
早速,撮影を開始する。この坂道を下ると県道19号線。この辺りの街の唯一の大通りである。
商店。色褪せた手描きの看板が素敵だ。
大越駅から南に1kmほど離れたT字路にて。
南側を見る。酒屋の看板が鮮やかだ。
北に歩いてゆく。旅館の文字も見える。
左官店。
名も無き商店街。古い街ではお馴染みの「小学館の学習雑誌」があった。
大越娯楽場。
今和次郎設計という近代建築。下調べで見た際には,褐色の古びた外観だったのだが,近年の工事で修復されたようだ。ちょっと綺麗になりすぎた印象で残念だが…この先も使い続けられるのは良い事である。
駅の方を見ると,この先は商店街というより住宅街のようだ。
すぐ向かいの店舗。斜めに取りついた扉や出窓,大きな看板部を見る限り,嘗ては飲食店だったのだろうか。
そして現在は,可愛らしい佇まいの音楽教室。涙脆いので,心の変な所にボディブローが決まった感じで,危うく泣きそうになった。
南に戻ろう。
理容店が並ぶ。
スナックの跡。
眼鏡屋の看板。こちらも既に廃業しているようだった。
体育館に戻る。
街を見下ろす石灰石鉱山。備北粉化工業のホームページでは大滝根鉱山,旭鉱末では新滝根鉱山と,2社で呼称が分かれていた。
さて,大越の町を後にし,磐越東線沿いを北に走る。時間が既に少しずつ押してきていたので,船引の街を目指した。道中,再び大粒の雨に見舞われたが,途中で一度車を停める。
大越駅と船引駅の間には,磐越東線・磐城常葉(いわきときわ)駅がある。
駅前の街並み。常葉の町は線路から北に外れた場所にあるので,ここは「商店街」という規模感ではない。
コカ・コーラの大きな看板がひときわ目を引く,マッシブな商店建築。
「ファミリーショップ マルゲン」の看板が掛かるマルゲン商店。丸源食堂も併設されており,2015年のストリートビューを見ると暖簾が掛かっているのだが,この日は営業している気配が感じられなかった。
さて,天気も読めないので,先を急ごう。
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