夕刻の断崖。 2023.02.04 西伊豆
2月4日(土),西伊豆へ。
▼その1はこちらから。
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松崎を発ち,再び北上。浮島海岸へ。
冬晴れ,夕刻の海岸線。
暴風に煽られ,抗いながら,奇岩のほうへ進んでゆく。
円礫の上は歩きづらい。
転ばぬよう,慎重に歩いてゆく。
岩脈がそびえ立つ。
波飛沫が舞う。
冬色の断崖。
飛沫が風に乗り,走ってゆく。
西日を受け,黄金色に輝く。
関東近郊の太平洋にしては,表情があるように思った。
やはり崖と衝突する海は美しい。
海底火山が形成したという,荒々しくダイナミックな地形。染め上げる夕陽は優しかった。
乾いた円礫の色。
少しの間,一人で暴風を真正面から身体に受けていると,己の「生」を感じられた。酷烈な環境に身を置いたときの慄きが,命を自覚させた。
陽光が届かなくなってきた。名残惜しいが,移動しよう。
人の往来は少ないようだ。
波濤と階段。
海蝕洞を眺めながら,先へ進む。
遊歩道の階段を上ると,夕陽が眩しかった。
金色は橙色へ。
この色を待っていた。
太平洋に沈む夕陽。
桃色の波模様。
息を呑む絶景だった。
展望台に立つ。いよいよ日没だ。
スケールの大きな景色が,伊豆半島には存在する。
この独特な青色を良く「TALISKERの箱の色」と喩えるが,ここの海の色はそれに限りなく近い。
乾いた冬の断崖の色と相俟って,どこか日本離れした景色に思えた。
ずっと眺めていたかった。
太陽が溶けていった。
去る時。
波が銀色に光る,寂寥の時。
階段を下るのが寂しかったが,充足感も確かにあった。
時刻は17時半。一日が静かに終わろうとしていた。
その9に続く。