梟の島

-追想の為の記録-

五能線キハ40,最後の秋(34):追良瀬~驫木,嵐の気配。

f:id:anachro-fukurou:20210427222423j:plain嵐の気配。 20.11.1 五能線 追良瀬驫木

 


2020年11月1日(日)。一昨日の出張調査後から続く,秋の五能線を追い求める撮影行も,いよいよ最終日の午後である。 昼食休憩の後は,行合崎付近の縦構図で首都圏色,所謂「タラコ」を仕留めた。 

 

今回の撮影の2つの主題のうち,「山線としての五能線」は十分に撮ることができただろう。たった今2826Dを撮影したアングルも,そのコンセプト通りである。ここから残り3本は,「秋の日本海」を捉えたかった。最後の撮影で「逆光の塩見崎」を試みる,という構想があったのだが,今日の天気予報を見ると先程の陽光は奇跡的な幸運であり,次の列車を逃すと残りの2本は曇る可能性が極めて高いようだ。そこで次の2533Dを塩見崎で迎えることにした。例の有名俯瞰撮影地側からアクセスすると,田圃の中にぽつんと,象潟の潟湖を彷彿とさせる林が存在している。ここを抜けると道は未舗装になり,塩見崎へと続いてゆく。岬の駐車スペースよりもだいぶ手前に2台,同業の車が居たので,声を掛けてみたが,彼らはどうやら2018年夏に我々を苦しめた「塩見崎北側」あたりを狙っているようで,別にこの先が満車という訳ではないらしい。オフロードを慎重に走行すると,塩見崎最奥部の先客は車1台・1名のみであった。

数十メートルの道を歩き,岬の突端へと歩くと,猛烈な風が吹きつけてきた。

 

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一昨日の鰺ケ沢と同じように,午後になり突如として天気が急変したようだ。

 

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見渡す限り何の障害物もない。吹き荒ぶ風は緩むことを知らず,カメラを手にした自分を崖の下へ吹き飛ばそうとする。

 

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そんな暴風により千切られた雲の隙間から,弱弱しく太陽の光が注ぐ。

 

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そして遥か彼方から,キハ40が姿を現した。

 

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広戸から追良瀬に向かう列車の前照灯が,薄暗い灰色の中に2つ。この大自然に必死に抵抗するように,きらりと光った。

 

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日本離れしたスケールの,断崖絶壁の海岸線。

 

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気動車は音もなく,ファインダーの中を滑ってゆく。

 

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望遠レンズのテレ端近くで撮影を続けてゆくと,向かって左へと進む列車は,追良瀬の集落へと消えていった。

 

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五能線の海岸のアングルは,本当に長い時間,列車を見ることができる。楽しくもあり,緊張で気が抜けない不思議な長丁場の撮影でもある。追良瀬駅の停車を終えた列車は,2~3分ほどして再び断崖絶壁の下に姿を現した。

 

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追良瀬駅の停車中に雲が少し切れ,海岸線には黄色の光が降り注いだ。

 

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枯れた景色,一切の音が聞こえなくなるほどに吹き荒れる海風。

 

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それでも,海岸線に押し寄せる波は不思議と穏やかだった。

 

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壮大なスケールをゆく。

 

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さて,いよいよ列車の気配を感じられる距離まで接近してきた。

 

その35(追良瀬~驫木~風合瀬,海岸線を遠望)へ続く。

 

 

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