梟の島

-追想の為の記録-

五能線キハ40,最後の秋(35):追良瀬~驫木~風合瀬,長い海岸線を遠望。

f:id:anachro-fukurou:20210427222449j:plain秋の海景。 20.11.1 五能線 追良瀬驫木

 


2020年11月1日(日)。一昨日の出張調査後から続く,秋の五能線を追い求める撮影行も,いよいよ最終日の午後である。 広戸を発ち,追良瀬驫木へと向かう列車を,塩見崎から遠望している。

 

さて,いよいよ列車の気配を感じられる距離まで接近してきた。

 

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海岸線の長いストレートを往く列車に対して,可能な限りのアングルを試す。

 

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西の空には,嵐の前兆の黒雲が垂れ込めている。

 

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この緑が,日本海の素の色なのだろう。

 

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左カーブを曲がった列車は,遂にこちらに向かって来た。

 

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最初で最後の,晩秋の塩見崎。

 

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短めのストレートを走り,最後は小さく右にカーブして,塩見崎下のトンネルへと吸い込まれていった。

岩の突端まで更に移動して,反対方向,すなわち北東側を向くと,驫木駅から風合瀬駅に向かう海岸線が見えた。この後もう一度,同じ列車の姿を拝む事ができるということだ。広戸~追良瀬追良瀬驫木驫木風合瀬,3駅間を遠望できる撮影地というのも珍しい。

 

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暫く待っていると,驫木駅を発車した列車が姿を現した。

 

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驫木の海岸線には陽光が降り注いでいたから,この界隈で撮影していた人は運が良かったのかもしれない。

 

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映画調のホワイトバランス。

 

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2両編成は酷烈な風を受けながらも,着実に歩を進めてゆく。

 

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音も無くファインダーの中を滑る列車を撮影し,最後はトンネルに消える姿を見送った。

 

撮影後,少しぼうっと海を眺める。日本海は私の「恩師」のような存在。可能な限り対話をしたいのだ。

 

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この陰鬱で枯れ果てた景色が,自分の琴線に触れる。

 

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一般的に「海」という言葉を聞いた時,多くの人間は太平洋の様子を無意識に思い浮かべるのだろう。しかし日本海の情景というのは,もっと表情豊かで,喜怒哀楽が激しい,人間味を帯びたものである。

 

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先程までは水平線のあたりが紺色に染まっていたが,気付けばその範囲がどんどん手前側に広がってきている。

 

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過去の経験からすると,この後すぐに嵐になる筈だ。

 

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しかし,嵐の直前の日本海ほど美しい海は無いと,この黒ずんだ水平線を見る度に思う。

 

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名残惜しいが,いよいよ限界が近そうだ。

そう判断して車に戻ると,数分後,車体に当たる雨がバラバラと音を立てるほどの豪雨となった。オフロードがぬかるんでも面倒なので,早々に引き上げ,舗装区間まで戻る。田圃の中には烏の群れが見えた。100羽以上居ただろうか。雨をものともせずに何かを啄んでいた。

さて,ここに居ても仕方がないので,ひとまず驫木駅付近まで移動し,残りの行程を考えることにした。

 

その36(広戸~深浦,色を失った海岸線)へ続く。

 

 

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