梟の島

-追想の為の記録-

羽越・磐西撮影旅行(16):小雨降る野沢の朝。

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冬の旅。 2020.01.13 磐越西線 野沢駅

 

旅程も早いもので3日目,最終日である。5時半すぎにチェックアウトし,大荷物はフロントに預けて,朝一の下り221Dに乗り込もう。あたりは真っ暗で,人は殆ど見当たらない。まあ,月曜祝日の朝の一番列車で喜多方から西に向かう人間など居る筈もない。駅員は我々の為だけの構内放送できちんと列車の案内をしてくれた。

暗闇を切り裂いてやってきたのはキハ110の5連。昨晩お世話になった編成である。「よお,またあんたらか!」という声こそ聞こえないが,心の中では「野沢までよろしく」と呟き,乗車。車中で過ごす時間は30分強,早々に朝食のパンを平らげて,体力を蓄えた。

小雨の降る野沢駅には0619着。我々の乗る221Dが着くと,対岸の孤島のような3番ホームから,只見線車両の220Dが会津若松に向けてちょうど発車する。ヘッドライトがあっては撮影不能と読み,後追いを狙う。ぎりぎりで何枚か撮影できたが,編成最後尾は残念ながらラッピング車だった。

 

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そして,少し休憩のように停車を続けているキハ110の5連を撮影。小雨に濡れた歩廊に尾灯や側灯が反射して赤く光り,艶があって美しい。

 

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110は国鉄からJRへの「過渡期」の車両といえる。考えてみれば1990年生まれ,自分と同世代なのだ。そのデザインにはまだ昭和の有機的な香りが残り,その肌の質感からも重さを感じられる。写し甲斐のある部類に入れてあげてもよい車両であり,特に側面の切り取り構図などでは親近感を抱きながら撮影できた。これらも近い将来,銀色のハイブリッド車両に置換されるのは間違いない。わざわざ撮りに来ることがないと考えれば,こういった機会の撮影というのもいつしか貴重な記録になるのだろう。

 

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野沢駅からは,国道のオーバークロスへ向けて,未明の集落の細い道をひたすら歩く。こういった遠征先での徒歩鉄らしい時間というのは実に久々なもので,少しタイムスリップしたような感覚になった。撮影地までの所要時間は20分,列車通過までは25分弱と比較的タイトな時間ではあるが,小雨の中を淡々と歩いてゆく。野沢駅から歩き始めた時,まだ空は濃紺色だったが,撮影地に着く頃にはだいぶ白んできていた。しかし,日の出が6時55分,対して列車の通過は6時45分頃。空は分厚い雲に覆われており,列車を撮影するにはまだ光が足りない。仕方がないので三脚を立て,1本目の222Dはムービー撮影とした。k-3にはムービー機能がないので、k-5にて撮影。しかしやはり暗すぎた。そして降り続く小雨も相俟って,ノイズの多い映像になってしまったのは残念であったが,未明の空気感は辛うじて捉えることができた。

 

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その17へ続く。

 

羽越本線の記事はこちらから。

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