梟の島

梟の島 -叙情的叙景詩-

-叙情的叙景詩-

五能線キハ40,最後の秋(26):米代川橋梁,黄昏のシルエット。

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silhouette. 20.10.31 五能線 能代向能代

 


2020年10月31日(土),秋の五能線を追い求める撮影行の2日目。早朝から陸奥柳田~越水の「山線」区間で数々の列車を撮影。午後は岩館方に舞台を移して撮影を続けている。

▼一番列車はこちらから。

 

八森のローソン横での撮影を終えて,車に戻る。ここから先,列車の速度は車と同等かそれ以上に速いので,追い掛けることは出来ない。大人しく南下して,米代川橋梁で本日の最終列車,323Dを迎えよう。2018年夏は,日の出直後の浅い太陽光に照らされた一番列車を撮影したのだが,今回は夕空を背にゆく列車のシルエットを捉える計画だ。いざ着いてみると既に同業の車が何台も停まっている。サブカメラと三脚は車中に置いたまま,メイン機とカメラバッグのみ持って河川敷に下りると,まだベストポジション付近に人は居なかった。橋梁の奥の方の1スパンが工事中で,網のようなもので覆われていて,トラスのシルエットが見えなくなってしまっていたが,まあ仕方がない。水面まで1mもない場所にちょこんと座るようにして陣取った。

 

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まだ太陽が眩しすぎるくらいだった。

左前に中年男性がやって来て,三脚を立てた。

ここまでは全く良かったのだが,少しすると大学生くらいのヲタ5~6人組がハイエナの如くやって来て,気付けば自分は左右および背後を取り囲まれてしまった。そもそも3人以上で行動するヲタの現地での振舞いというものは,2人以下のそれとは根本的に異なるので嫌いなのだが,まさかこんな所でこんな形で出くわし,しかも「包囲」までされるとは夢にも思わなかった。かなり自分に近接した位置に三脚とカメラをセットしているのだが「横失礼します」と言う訳でもないし,屋外とはいえマスクもせずに至近距離内で話をされているのも実に腹立たしい。せいぜい3~4人の同業者が居る程度で,広い景色の中で列車をのんびりと見送るイメージで居たのだが,何なんだこれは。いったい何が悲しくて,地方の自然の中で赤の他人にくっつかれなければならないのだ。

 

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日没時刻が近づいてきて,空は明るさと色を失ってゆく。

 

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雲が多くないので,幻想的な夕焼けという訳でも無い。 

 

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橙色はみるみるうちに褪せてゆく。

そして日没の7分後,ついに列車はやって来た。

 

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「包囲網」の中で,右からも左からも後からも,聴き馴染みのないシャッター音。何とも虚しい撮影である。

 

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写真は綺麗に撮れたと思う。だが,プロダクトの美しさだとか成功失敗だとか,そういう事ではない。

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三脚に固定している連中は見向きもしない,サイドビューの画角。こういうのだって,撮るべき,良い写真だろう。

 

ああ,非日常の時間の過ごし方として,この撮影は0点だった。列車が視界から消えた直後,いたたまれなくなって即座に退散しようとすると,レンズキャップがカメラから外れ,米代川に着水。はじめは護岸の届きそうなところに見えていたのだが,それでも水面から1mほど離れた位置。腕を入れたが到底届かず,木の枝で掻き寄せようにも引っ掛からず。揺蕩う波に,キャップは1cmまた1cmと川底のほうへと攫われてゆき,いつしかその姿は水底の闇に溶けていった。ぼんやりと体育座りをして,その消えたレンズキャップとの離別を惜しむ。同業たちは(キャップ救出を手伝おうとしてくれた人も居たが)早々に撤収してゆき,気付けば川岸には自分一人と,少し離れた場所にもう一人のみ。暮れなずむ空をぼんやりと眺め,苛立ちと虚しさのほとぼりを醒ました。

徐に,後ろの藪から物音がして振り返ったが,何も居ない。小動物が通り過ぎていったようだ。猫よりは明らかに小さい身体から発せられた物音だったが,何だったのか。こちらから視認することはついに出来なかったが,不思議な時間だった。

 

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流石に日没後の水辺は寒かったので,15分ほど滞在した後,車に戻った。

 

その27(夜の能代駅)へ続く。

 

 

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