梟の島

梟の島 -叙情的叙景詩-

-叙情的叙景詩-

長崎建築紀行(2):旧ウォーカー住宅,旧リンガー住宅ほか。

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英国風の空間。 2020.09.16 旧ウォーカー住宅

 

2020年9月16日(水)は,長崎出張初日。昼からの打合せまで時間があるので,強い雨の降りしきる朝,長崎電気軌道を撮影。その後,市内の近代建築群を巡り,大浦天主堂まで移動してきた。

(※その1に,写真数枚を追加しました。)

anachro-fukurou.hatenablog.com

朝からあれだけ降り続けているというのに,雨は一向に止む気配がない。コロナ禍の平日の朝ということもあり,ほぼ観光客の居ないグラバー園を,ゆっくり見て回ろう。

 

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入口から少し西に進んだところに,特に飾られない形で,雰囲気のある建物が放置されていた。旧南山手十六番館だという。資料館としては閉業してしまっているようだが,この先に明るい未来はあるのだろうか。立地は最高なので,ぜひとも再整備して活用に漕ぎつけて欲しい。

 

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緑に覆われたグラバー園の入口。消毒と検温を終えて,いざ入園。

 

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動く歩道で緩やかに斜面を登り,高度を稼ぐ。左手に市街地を見る。雨雲が山肌に絡みつくように,低く這っていた。

 

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動く歩道を降り順路に従い,まずは斜面の頂にある,旧三菱第2ドックハウスへ。明治29年,対岸の三菱重工長崎造船所のすぐ傍に建てられた西洋建築である。木造の2層,ベランダが美しい。

 

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堅牢な階段は,近代建築の目玉の一つ。

 

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2階の窓。子供の頃に遊んだレゴの窓を思い出して懐かしくなった。

 

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旧ウォーカー住宅。明治中頃に大浦天主堂の隣に建設された。ウォーカー商会を設立したイギリス人,ロバート・ウォーカー・ジュニアの旧邸宅である。

 

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 入口の白黒のタイルといい,ピンクの壁といい,実に可愛らしい。

 

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曲線美。 

 

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 張り出したベランダ。

 

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 持ち送りと破風。ところどころに日本的な要素を見て取れるのが興味深い。

 

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室内。オレンジの絨毯は珍しいかもしれない。

 

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イギリス式の暖炉,格天井に出窓。比較的小ぶりな空間が素敵だった。

 

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「レトロ写真館」こと,旧長崎地方裁判所長官舎。明治16年長崎市上町に建てられた建築。内部は日本風の空間だった。

 

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ここで満を持して現れる国指定重要文化財,1棟目が旧リンガー住宅である。1868年頃に建てられた洋風住宅で,国内の西洋住宅の「古参」である。

 

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カトラリー。フレデリック・リンガーをはじめとするイギリス人実業家によって創設されたナガサキ・ホテルが1908年に閉館し,カトラリーが競売に掛けられた際,「N・H」のイニシャルを共にするという縁があり,当時建設中だった奈良ホテルが購入した物である。2013年の調査で発見され,こうして長崎市グラバー園に寄贈されたという。「もの」が主人公となった,心温まる物語である。

 

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 重厚感のある暖炉。

 

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 大きな扉も,デザインは軽快である。

 

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室内。壁面を鈍角に折る造りは,贅沢さと高級感を空間に与える。

 

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カーテンドレープは,西洋建築の室内に線を足す重要な要素である。 

 

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躯体は木骨石造。

 

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説明としては「バンガロー風」という事になるらしい。 

 

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角柱には天草の石,床にはウラジオストク御影石が用いられているという。施工はその3で紹介するオルト邸と同じ,小山秀之進の手によるものと推定される。天井面を覆う斜めの格子は,日本では類例の少ない貴重な要素だと思う。

 

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そんな西洋建築に桟瓦屋根で蓋をしているのが何とも面白い所である。本格的な西洋住宅の日本化, 興味深い。

 

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こうして引いてみると,軒の深さが良く見て取れる。

その3では,引き続きグラバー園内,大のお気に入りとなった旧オルト住宅を中心に紹介する。

 

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