梟の島 -叙情的叙景詩-

-叙情的叙景詩-

羽越本線沿線散策(13):勝木の夜,碁石の朝。

集落の朝。 2022.08.28 村上市碁石

 


8月27日(土),酒田出張の前々日。積み残した仕事の処理,出張準備と旅の準備,宿の手配を終え,夕方の列車で東京を発ち,一路新潟は下越へと向かった。

がらがらのE7系の車中で駅弁と缶ビールを嗜む。大宮を発つと,車窓の西の空の橙色はみるみるうちに褪色してゆく。北の空には鉛色の雲が低く架かり、街の灯りは疎らである。外界と隔絶された眩いカプセルは、超高速で非日常の夜へと突き進んでいった。

高崎以北の道中は眠っていたのだろうか,あまり記憶が無い。新潟で白新線に乗り換え,新発田から羽越本線で北上する。新発田では夏祭りがあったらしく,若者たちが沢山乗車したため,GV-E400は満席で立客も多かった。平木田あたりでロングシート(といっても,ボックスシートの端に付く4席ほどの短い座席)が空いたので着席し,静かになった車内で缶ハイボールを飲んだ。

 

これが村上以北の最終列車であった。勝木駅で下車すると,同じく降車した地元客が怪訝な顔でこちらを見ながら西口を出て行った。発車したGVの尾灯が闇に溶けるのを見送ると,たちまち駅は静寂に包まれた。

 

この小さな無人駅。勝手知ったる区間でも,ここで実際に下車するのは初めてだ。

 

徒歩0分の駅前旅館,長濱屋旅館にお世話になる。

 

当日予約だったが,素泊まりを快く受け入れてくれて感謝しかない。部屋は入口側の2階を案内して頂いた。

 

素敵な造作だ。

 

室内には青釜のEF510,貨物列車の写真が十数枚飾られている。鉄ヲタ的には,心安らぐとまでは行かないものの,嬉しかった。

 

廊下。

 

1階の風呂は家庭風呂,安心できる雰囲気だった。

部屋に戻り,コアラのマーチとカップの麒麟山を味わう。静かな,充実した夜だった。24時すぎに中年男性数名が夜釣りから戻ってきてからは,彼らの話し声がかなり大きく聞こえてきた。それも却って旅の孤独に安心感を与えるもので,酒を飲み終えた後はすんなりと就眠した。

夜中には2度,貨物列車が通過し,建物の揺れと機関車の轟音で目が覚めた。10年早くこの旅をできていれば,もっと沢山の貨物列車に揺り起こされ,未明のあけぼの号を窓から眺め,その振動を全身で感じる事が出来たのだろうか。そんなことを思いつつ,再び入眠,日常の疲労を癒した。

 

 

8月28日(日),朝。5時半すぎに起床,天気は小雨。

 

コンビニパンを食べ,旅館の中をささっと撮影。

 

外観。

カメラを首と右肩に,傘を左手に持って,6時前に散策へ。昨年11月以来の羽越本線沿線散策,今回は公共交通と脚のみを使う,長い長い行程が始まった。

 

勝木駅から北へ,海岸方向に歩いてゆく。犬の散歩の方とすれ違ったっけ。上り坂を越え,そして下ると,ほんのりと海の匂いがしてくる。

 

碁石の集落だ。

 

海際の道。

 

静まり返った,日曜の朝。

 

河口まで蛇行する小さな川。

 

板壁の家は海を見る。

 

鉄道車両かな。

 

午前6時15分,海は未だ暗い。

 

集落の中を歩く。

 

未だ街灯が点っている。

 

夏の湿った空気。

 

印象的な家。

 

夏の色,雨露。

 

海を見る道,雨に濡れたアスファルトの鈍い光沢。

羽越本線沿線の己にとっての魅力は,心象風景が実在していること,それに尽きる。

 

新しめの外装材を纏う家が7~8割,板壁の家が2~3割の印象。

 

色の競演。

 

さほど大きな集落ではないので,この緩い坂を上れば南端である。

 

朝一番の散策にはちょうど良い規模の街だった。

 

駅前に戻る。廃線および未成線の隧道を覗き見る。

宿に戻り手続きを済ませ,大きな荷物だけ置かせておいて頂き,出発。

 

敢えて徳洲会病院の方に回り込む。

 

西側の寂しい入口。

 

6時42分発,下りの一番列車に乗り込んだ。

 

その14(鼠ヶ関・伊呉野)に続く。

 

 

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