梟の島

-追想の為の記録-

会津・金山町の秋(4):尻吹峠の夕刻,夜の帰路。

秋の峠。 2022.11.12 金山町

 


11月12日(土),日帰りで会津・昭和村・金山町へ。国道400号線沿いの集落を東から巡ってきた。

▼その1はこちらから。

anachro-fukurou.hatenablog.com

小栗山から,本日最後の目的地,尻吹峠へ向かう。

 

舗装道が終わり,かなりの悪路。

 

傾きつつある太陽も,まだ直視するには強すぎる。

 

橙色の道。

 

視界が開け,一面の薄の美しさに息を呑んだ。

 

すごい。ひたすらに,すごかった。

 

只見川・只見線沿いの大志集落が見えてきた。

そう,此処は鉄道撮影の有名スポットなのだ。数分前に只見線の列車が通って行ったらしく,撤収作業をしている方とすれ違った。鉄道を撮りに来た人のほかに此処を訪れる者など居る筈が無いので,明らかに不自然なタイミングの登場に,奇異の視線を投げ掛けられた。

 

今回は,集落をどうしても俯瞰したかったので,わざわざここを訪れた。

 

本当はもう少し巻きで行動している予定だったのだが…大志の集落が山影に呑まれるよりも前に訪れたかった気もするが,これはこれで良しとする。

 

何故なら,夕刻の美しさが格別だったから。

 

右手は,会津川口に直接続く道。車両は通行止めとなっていた。その情報だけ知っていたので,東側から回り込んだのだが,これは正しい判断であった。

 

望遠。川面に映る橙色が綺麗。

 

引きで見れば,この美しさ。視界が色で飽和するようだった。

 

色は濃く,コントラストも強く。

 

そして叙景詩は抒情性を帯びる。

 

こんなにも美しい道に出会えるとは思っていなかった。

 

より色は深く鮮やかに染まり,しかしコントラストは次第に弱まってゆく。

 

コントラストは強くなくていい。優しい光がいい。

 

誰も居ない。物音も殆ど聴こえない。

 

ただ,圧倒的な美しい景色だけがある。

 

逆光を透かす薄の穂が一面に拡がっている。

理想郷のようであった。

 

山向こうに陽が隠れる前に,峠を下った。

 

尻吹峠から舗装道に戻り,一安心。

 

帰り道。

 

最後の夕陽を見送った。

 

冬を待つ。

 

あっという間に黄昏の空気感。

 

玉梨温泉まで戻って来た。

 

小さな温泉街。

 

共同浴場に入る。

200円をポストに入れる。先客は無く,貸切だ。

 

鉄の匂いのする湯に沈む。

一日の疲れを癒す。

このまま泊まってしまいたいのだが,今日は日帰りなのだ。頭がおかしい行程…那須塩原に戻らなければならない。長湯はせずに再出発。車に戻るとすっかり夜の帳が下りていた。

夜の400号線,風景は殆ど見えないまま,金山町から昭和村へ入り,道の駅を目指したのだが,何と既に営業終了。土産を手に出来ぬまま,喰丸まで戻って来た。

 

今回の非日常の〆に,喰丸小の銀杏のライトアップを見に来た。

 

秋の終わり。

 

校舎も美しく見えた。

 

よし,時間だ。

再訪はいつになるか分からないが,またきっと会いに来よう。

 

夜道の400号線を2時間ほど運転。地元ナンバーはかなり車を飛ばしてくるので休まらなかった。序盤のトンネルの中でタヌキがいきなり飛び出してきて急ブレーキを掛ける一幕もあったが,その先は無事に完走。会津田島のコンビニでカップ酒を調達し土産とした。無事に定刻で那須塩原に着き,鈍行で帰京した。

5分単位でタイムコントロールをする,かなり忙しない一日であったが,後からこうして振り返るととても良い記憶と記録が残っている。行きたいと思った時は無理をしてでも行っておけばよい,ただ単純にそれだけの事だ。フットワークの軽さだけは可能な限り保ってゆこうと思う。

 

 

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