美しき残滓。 2020.08.22 貞元市場
８月22日。早朝から動き始め，時間の許す限り北九州市の木造アーケードを巡る一日である。到津市場，筑豊商店街，枝光中央商店街，前田中央市場・堀川市場に続き，国道３号線沿いの貞元市場にやって来た。
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幅広の木造アーケードは，被写体として優秀で，構図のバリエーションが極めて多い。まだまだ撮影を続けてゆこう。
このトーンがたまらなく好きである。これだけの広範囲の壁面を一度に画角に納められるのは，幅広の貞元市場ならでは。
緩やかな傾斜の屋根，シンプルな束に母屋が載る。
目線を落として，時間軸の狭間に取り残されてしまった愛らしい被写体と，対話を試みる。
天ぷらの文字が残る。躯体の歪みは，さほど大きくはない。
数年前は現役だったようなのだが，この日は少なくとも営業する気配は感じられなかった。
さらに広角で狙えば，迫力が増す。
こういった市場に冷凍食品の看板が出るのは，少し珍しいだろうか。類例を見た記憶があまり無い。
定休日ではないが，生気は感じられない。
縦構図はちょっと間延びしてしまうのだが，一応トライしておいた。
中心からは横構図，これが定番の「美味しさ」である。
鯨肉の店舗は当たり前のように存在していたのだが，平成生まれの自分には馴染みの無い存在であり，それだけでついついレンズを向けてしまう。
最奥部には後補のエレメントが多く，全体として継ぎ接ぎだらけである。
人の気配は有るのだが…相変わらずの静寂に包まれていた。
さて，３号線側に戻る。名残惜しいが，最後に広角横構図で， 撮り納めだ。
たかだか十数平米の「準廃墟」なのだが，とても味わい深く，撮り応えのある空間だった。
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