梟の島

梟の島 -叙情的叙景詩-

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大分・津久見散策(1):「セメント町」を歩く。

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セメント町の夕暮れ。 2020.08.20 大分県津久見市

 

このご時世,3月中旬からは完全在宅勤務で過ごしており,買い物と月1度程度の出先での打合せ,同じく月1程度の出張以外は全く外出せず,徹底的な自粛生活を送っている。しかし,どうしても外出しなければならない出張の前後くらいは,せめて誰にも迷惑にならぬように車で移動しながら,ちょっとした非日常を味わわせてもらおう。そんな訳で,7月の浜松出張の際は,富士で前泊して工場夜景を撮ったのだった。 

さて,今回の出張はだいぶ遠距離で,大分(中津)である。大分県は恥ずかしながら未踏の県であり,見たい場所も沢山あるので,例のごとく前乗りして,色々と撮って回ることにした。

飛行機嫌いは相変わらず。8月20日(木),9時台の新幹線で東京を発つ。車中も徹底的に「自粛」を貫き,ひたすら己を守り,また自分が加害者になり得ることを考え,他者を守ることに徹する。14時台に小倉に到着し,日豊本線ソニックに乗り換える。

その待ち時間,鋼鉄車の415系・下関行が3番ホームに鎮座していたので,暫し撮影タイム。

 

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鉄道車両を撮るのも半年ぶりだ。

 

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15年ほど前の常磐線の空気を感じ,懐かしい。

 

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真夏の昼の山陽本線。ゆっくりと発車していった。

 

数分遅れでやって来たソニックは,乗客は1両あたり7~8人程度と,あまり気を遣わずに済む空き具合で,ここでようやく少し気分が落ち着いた。革製のゆったりした座席で,旅路を楽しむ。朱色のアドバルーンが,巻雲が棚引く青空にぽつんと浮かんでいる。眼下を見遣れば,若々しい稲穂の鮮やかな緑色が一面に広がっている。そうか,もう夏なのだ…と,8月20日にしてようやく感じた。唯一,ソニックの窓ガラスのUVカット仕様で,景色の色が歪められてしまっていることが残念だった。

豊前松江を過ぎたところで,車窓には海が広がる。海岸線はあっという間に線路際まで近付いてきた。晴れた青い海を見るのはいつ以来だろう…浜松も千葉出張も曇りと雨だったので,1月の羽越本線,大岩川の俯瞰で見たのが最後だろうか。外に出ること自体が稀になっている今,別に大して特別なものでもない筈の海の青さが,不思議に心に深く沁みた。

宇佐から杵築までは山間区間に切り込み,やがて別府湾へ。そのまま晴れた海を車窓に眺めつつ,石丸謙二郎の車内アナウンスを聞きつつ,16時すぎに大分駅に到着。そのままレンタカーを借り,出張を間に挟んだ旅が始まった。

今日は海崎,津久見,そして大在で工場夜景をハシゴするという,いきなり無謀で欲張りな計画である。まずは夕方の津久見市の街並みを見るべく,車を走らせる。大分南バイパスを抜け,舟本大橋を渡り,県道206号,国道502号で上臼杵へ,その後は国道217号の「新臼津トンネル」で津久見へと抜ける。大分の県民性なのか,市街地では基本的におっとりとした安全運転,山間区間ではややオーバースピード気味な運転をする車に多く出会った。ざっと1時間20分ほどのドライブで,津久見市街に到着。

まずは「セメント町」という独特な地名(ニックネームではなく,正式な地名である)を冠する街を歩いてみよう。

 

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一昔前の風情を保った街並み。一気に非日常が始まる。

下調べによると,この奥にはかなり古びた長屋建築があったようなのだが,残念ながら解体され更地になっていた。

 

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セメント町商店街。

 

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夕刻の陽光が,ノスタルジックな雰囲気をより一層強めていた。

 

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嘗ての賑わいは感じられないが,生活感はかなり強い。

 

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ゆらゆらと,老人の自転車が通過していった。

 

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順光でも,逆光でも絵になる時間帯である。

 

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酒屋の店先には,黄色くて細長い箱が置かれていた。何かと思えば,焼酎専用の自販機。初めて見た。

 

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セットのような「理容店」はなお現役。古いサインポールが「コォ,コォ…」と,悲しげな音を立てて回っていた。

 

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バス停も「セメント町」。

 

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そのすぐ向かいには,太平洋セメント株式会社,日豊オノダ株式会社の工場が建つ。

 

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守衛所のガラス窓にはアールが付いている。随分と丁寧な,凝った仕事をしていることに感動する。

 

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工場の入口も,わざわざ切妻の2階を載せて正面に向けており,なかなかデザイン性の高い佇まいであった。

 

セメント町の東隣は,港町。次の記事では,その工業港の様子,そして港町の街中に残る建物達を紹介しよう。

その2へ続く。

 

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