2019年4月7日。桜の好きなヨメ氏と2人で,1泊2日で山梨へ観桜旅行に出掛けた。
出発は5時台後半だっただろうか。中野を発ち,7時頃に高尾で乗り換え,中央本線をひたすら下る。8時すぎに勝沼ぶどう郷駅に到着した。
勝沼は甲州市。甲州市レンタサイクル「ぐるりん」というコミュニティサイクルがあり,事前登録しておけば赤い電動アシスト付き自転車を使う事が出来る。勝沼ぶどう郷,塩山の駅前などで借りることが出来て,甲州市内の観光にはとても便利である。中央線の車中で借りる車両の番号を指定しておいたのだが,自分の選んだ22号車は何と充電が少なく40%程度だった。このチョイスが後々自分を苦しめる事になることなど知る由も無く,22号車で出発した。
出発とはいえ,勝沼の駅前には中央線・貨物列車の嘗ての主役,EF64の18号機が静態保存されているので,これを撮影する。ちょうど満開の桜を背に,穏やかな顔付きの山男を久々にファインダーの中に納めた。
側面の塗装はパッチワークのようになっていた。
静かな余生を送っているようだった。
さて,自転車を本格的に漕ぎ出し, 本日1つ目の目的地である大善寺へと向かう。しかし寺の拝観時間は9時からなので,少し寄り道をして,道中の「祝橋」へと向かった。
祝橋は1931年に造られたコンクリートアーチ橋である。スパンは60m弱,甲州市のシンボルのような存在だという。御茶ノ水の聖橋を連想する方も多いだろう。ちなみに聖橋は1927年,震災復興で建造された。スパンは80mとさらに大型で,アーチがより深く,曲率が大きい。設計は山田守である。
さて,満を持して大善寺へと向かう。勝沼は甲府盆地の裾野にあたる場所であり,また大善寺は勝沼から甲斐大和方向に進んだ場所にあるので,緩やかな登坂が続いた。改めて調べてみると,祝橋と大善寺で60mほど標高差があったようだ。
駐車場の隅に駐輪し,拝観受付を済ませて,参道の階段を上る。
開門5分後に境内に入ったが,先客がちらほら。桜のシーズンはやはり「特別」だ。
そして,方形の檜皮葺屋根の純和様本堂だ。国宝である!
2019年は,好みの国宝建造物をかなり網羅した年だった(清白寺,円覚寺,正福寺,明通寺,湖東三山)が,思い返せばその一つ目はここ大善寺本堂だった。
和様のシンプルさ,やはり好みだ。板戸だと色彩的に統一感が出て良い。
組物層をズームして撮ってみる。反復が基本の伝統建築,こういったアングルから見ると圧縮効果が効いて幾何学的に面白い。引きが十分に取れない場合が多いので,珍しい画角なのかもしれない。
お馴染みの45度構図も。純和様の五間堂,良いなぁ…。しかし難しいのは,空の白さと建物の黒さのギャップ。庇が比較的深いので,普通に撮っては建物が真っ黒になってしまう。空を白飛びさせてしまったのは失敗だったが,仕方ない。
大善寺は「ぶどう寺」とも呼ばれる。境内の東側の斜面には,桜の木がかなりの密度で植えられている。この全てが満開だった(記事最上部の写真)。
春らしい空と。
五所大神社の鳥居なのだろうか。
整備されていない道だが,それが良い。朝一番に探訪したので,この景色をほぼ独り占めすることができた。
その2へ続く。