梟の島

-追想の為の記録-

浜松駅北口:ランプ横丁,猫っ跳び小路,十八番街と三米商店。

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路地は望遠で。 2021.09.11 浜松・ランプ横丁

 


9月11日(土)。出張の翌日,掛川駅前と遠州森の街並みを散策した後は,天浜線二俣本町へ。天竜区二俣町のクローバー通り商店街と横町通りを歩き,マルカワの蔵を見学。幸運な縁に恵まれ二俣町遊郭の旧妓楼を見せて頂いた後,裏路地を巡って駅に戻ってきた。

▼その1はこちらから。

anachro-fukurou.hatenablog.com

当初の予定よりも1時間後の列車で二俣本町を後にした。

 

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列車は左カーブを終えるとすぐに天竜川を渡る。

 

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車両後方の窓越しに,晩夏の景色をしばし堪能。程なくして隣の西鹿島駅に到着した。

 

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ここで今回は天浜線に別れを告げ,遠鉄電車で新浜松へと向かう。

 

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車両の赤が青空に良く映えて眩しかった。私鉄ならではのポップで愛嬌のある車両正面のデザインをファインダー越しに眺めながら,気付けば笑顔になっていた。

運転席のすぐ後ろの座席を確保し,前面展望を楽しむ。広々とした窓が開放的で心地よかったのだが,小林駅から学生が多く乗って来たので車両を一つ後ろに移動。昼下がりの鉄道に揺られて暫し微睡む。思えば「昼に電車に乗る」なんていう体験も,ずいぶんとご無沙汰になっていた訳だ。今回はラッシュを避けつつ,公共交通利用を少し許容した行程にしてみたのだが,これもTwitterの諸氏の影響を受けたところがある。公共交通に揺られている間の時間というのは,良い意味で無駄が多く,受動的な態度で過ごすことが出来る。非日常という緊張・興奮の中の一時的な弛緩状態,このゾーンに入る事が出来た時,研ぎ澄まされた感性と旅先の空気がはじめて直接的に触れ合うような気がする。6月の東北出張前後の小旅行でも,斎川・越河・貝田宿の「良い意味の無駄」な「弛緩した」時間が最も心に沁みたのだ。そして今回の行程の中で最も強く旅情を感じられたのは,またもや写真に残らない,この遠鉄電車の道中のひと時だった。打算の無い非日常の弛緩した時間を意図的に作ろうとするのは実は難しく,そもそもどうしても「もったいない精神」との戦いになる訳だが,ここは良い塩梅に折り合いを付けられるような大人になりたいものである。

さて,二俣で1時間ほど時間を使ったので,浜松市街の散策に許された時間は30分ほど。効率的に要所を抑える為に(一段落上の話をどこに忘れて来たのかというほど打算的である),終着の一つ手前の第一通り駅で下車。目の前に東横イン浜松駅北口を見ながら,西側の歓楽街へと歩く。

 

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まずはここ,うなぎ「曳馬野」が目印。

 

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浜松随一の路地「ランプ横丁」へ。

 

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この道幅の路面に描かれた矢印。

 

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路地は望遠気味で撮る,鉄則。

 

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奥へと進んでゆくと,雰囲気は十分だが,そこまで建物が密集している印象は無い。

 

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うらぶれた感じもしない。

 

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現代的な看板が並ぶ。随分としっかりした鉄骨梁に据え付けられている。些かオーバースペックだな…。

 

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これまたストリートスナップ界隈の方は素敵な写真に収めるのであろうが,ひとまず記録的でも構わないので,ここに来た証を形にした。

 

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天下の浜松駅まで徒歩数分の距離にしては寂しい。

 

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嘗て古びた公衆便所があった一角。

 

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地方都市にありふれた景色なのだが,こういった形の,いわば「普通の」建物も記録したくなってしまい,結果として撮影枚数が膨大になってゆくのが最近の悩みである。

 

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ELEVEN

 

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続いては,ランプ横丁から一つ西の街区の,「猫っ跳び小路」と呼ばれる裏路地へ。

 

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無機質な建物と,店舗の前に植えられた植物のミスマッチが面白かった。

 

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この日当たりで良く頑張っている。

 

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残念ながら猫の姿を見ることは無かった。

 

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さらに奥へと進んでゆく。

 

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ボガ。

 

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階段に降り注ぐ光が美しかった。

 

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人通りはほぼ皆無。

 

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不思議な路地だった。

 

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ここから北上し,海産物問屋・三米商店の看板建築を見る。

 

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ガラス越しに中を見ることが出来たが,利活用されているようで一安心である。

 

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さんよね,と読むのだとか。

 

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大都市・浜松の中心街,駅から徒歩数分の場所に,これだけ大規模で背の高い看板建築が残っていることは奇跡的である。これからも末永く愛されていってほしい。

 

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最後は,そんな三米商店の正面から東に伸びる「十八番街」の路地へ。

 

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振り返れば三米商店が聳え立つ。

 

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ここもあまり雑然とした印象は無かった。

 

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途中から北に折れる横道。

 

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店舗の看板と洗濯物が同じ画角に入る,裏路地らしさ。

 

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「海話室」という店の看板の上にイルカが居た。

 

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この一角が浜松駅北口で一番好きだった。

 

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東へ。

 

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入口に掛かる有名なアーチは,街の代謝に取り残されているようだった。

 

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ここでタイムアップ。本来は千歳町の歓楽街も歩いてみようと考えてはいたのだが,二俣町が充実していたので勿論仕方がない。次がいつになるか分からないが,またの機会に持ち越しである。

 

新幹線に乗り込む前にトイレで着替えると,右肘の内側あたりを変な虫に噛まれていたらしく,2箇所の小さな瘡蓋の下に直径1cmほどの紫色の痣が出来ていた。全く覚えがないが,遠州森で雨宿りしている際にでもやられたのだろうか…まさかマダニではあるまいかと少し怖くなったが,幸い1週間も経たずに痣は引き,半月ほどで完治した。

帰路の新幹線は終始静かで空いていて,三島から品川までは熟睡。都内の列車が混雑しないような時間を見計らって帰って来たので,中野までも十分に快適だった。朝6時に掛川の散策を始め,15時すぎに浜松の散策を終え,17時半すぎには帰宅しているという,何とも不思議な一日であった。

 

 

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