梟の島

-追想の為の記録-

岐阜・日ノ本町,長住町:昭和中期のビルと長屋が並ぶ日常風景。

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ビルと長屋の混在。 2021.10.08 岐阜・日ノ本町

 


10月8日(金),岐阜出張当日の朝。中問屋町を掠めた後,8時頃に「早朝ソープ」金津園を散策し,その後は旧青線・国際園跡を歩いた。

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国際園から更に北に移動し,長住町7丁目付近のアーケードを撮影する。

 

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ここは昨晩も問屋街からホテルに戻る前に歩いた道である。イシカワ接着センターは営業していた。

 

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ザ・レトロアーケード。

 

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道の北側へ。

 

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華奢な鉄骨,せり出す上階。

 

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中華そばの旨そうな匂いが漂っていた…。

 

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アーケードの屋根を見ると,板だった。なかなか珍しい。

 

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長住町の北,日ノ本町へ。

 

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このあたりは先人の歩いた記録は特に見当たらなかったが,下調べで空撮を見ていた時,整然と碁盤の目状に道が配列されており,明らかに周囲と異なる町割りになっているのが気になった。そして屋根のパッチワーク感を見るに,きっと面白い街並みが展開されているに違いないと確信したので,散策してみることにした。

 

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太洋紙工の角から,大通りの1本北の道を東へ。予想通り,良い感じの雰囲気だ。

 

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暗めの褐色が並ぶ。

 

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壁面もまたパッチワークである。

 

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ビルの狭間から,ほのかに黄色い朝陽が差し込む。

 

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片や5階建ビル,片や2層の長屋。

 

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ビルと住居が混在している。

 

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さらに1本北の道へ,東から入る。

 

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何気ない景色の中に情報量が多い。突き当たりが3階建で,非常に都会的だ。

 

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太洋紙工の事務所が1階に入っているビル。半世紀は経っていそうだ。

 

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こちらが対面の工場。けたたましい操業音が響いていた。ちょうどトラックが去り,全貌を拝むことが出来た。

 

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1本目の道に戻り,今度は西へ。

 

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右側の敷地には,つい先日まで建物が建っていたようだ。

 

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臆病な犬を探せ。

 

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表から見るとタイル貼りのビルも,裏に回ればスッピンである。

 

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歩いて来た道のすぐ北を走る路地。歩けなくもないのだろうが,撮影は外からに留めておいた。

 

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大通りの2本北の道を東へ。

 

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この辺りにはビルが無いので,空が広い。

 

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装飾的な建物は,美容室。雰囲気的には面白そうな一角だったのだが,すぐ右奥あたりに車が止まっていて,井戸端会議も行われていたので,撮影は軽めに終えざるを得なかった。ちょっと勿体なかったか。

 

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ぎゅっと圧縮。背の高い街は,望遠で切り取ると美しい。

 

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3本目の道を今度は西へ。

 

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街角。

 

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4本目の道を東へ。彫りの深い陰翳が美しい。

 

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碁盤の目状の街を悉皆的に歩くのは,なかなか骨が折れる。東へ西へ,ジグザグに網羅してゆく。

 

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4本目の道をさらに東へ進む。個人的にはお気に入りの一角。

 

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道幅が狭く,「路地」感が強い。

 

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忠節橋通りから3本目の道に入り直す。

 

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南北に通る裏道を南へ。

 

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ビルの片隅に開いた生活空間。

これにて日ノ本町を概ね網羅した格好だ。

 

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大通りを南に渡り,再び長住町を通過。浅い角度のクランクを超える。

 

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西問屋町へ。「国際理容館」という名前に,国際園の名残を感じる。

 

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昨晩も歩いた辺り。

 

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「毛布」の赤い装テンが印象的。間近で見ると,その文字の巨大さに驚いた。

 

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西問屋町は非常に小さな一角だった。

 

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チェックアウトのために宿に戻る途中,大通りから,繊維問屋街・一条通りの北側のビルの背面を見る。

 

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何てことは無い街角も,久々に地方都市に来ると物珍しく感じてしまう。

 

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玉宮町

 

この街を見慣れている人からしてみたら,或いは似たような空気感の地方都市に生まれ育ち,今もなお住んでいる人からしてみたら,この記事の写真の殆どはただの日常風景で,特に気に留めることもなく,面白くも何ともない物なのかもしれない。それでも外様の自分は,非常に魅力的な街であるように思う。幸か不幸か,新しい建物が混ざっていないことで,街の「時代設定」が上手く保たれているからなのかもしれない。

ほとんどの場合,当たり前の景色は,劇的には変化しない。それでも古い建物は一つ一つ確実に失われ,新しいものに姿を変える。もしくは更地や駐車場になり,歯抜けになってしまう。その時はまたそれが当たり前の景色であって,多くの人はその変化にすら何も感じない。そもそも気付くこともないし,気付いたところですぐに忘れてしまうのだ。きっとこの記事を読んでいる方も,地元の商店街で更地になったところにかつて何の建物があったか思い出せない,という経験があるのではないだろうか。

私自身,きっと10年前にはこの景色を見ても何とも思わなかった(せいぜい,異郷の地に居るという実感がある程度だった)筈である。ひたすら建築と街に目を向けるという経験を積み,解像力・読解力が高まったことにより,この街を「面白い」「美しい」と思う事が出来るようになったのだ。これは決して座学で誰かに教わるものではないし,興味の無い,或いは解像力の備わっていない人からしてみたら,その面白さを知る術は(能動的にも受動的にも)ない。

そんな時に,多ジャンルを横断的に扱っているこのブログのような存在が,見知らぬ誰かの興味の芽を育てる一助になったりしないだろうか,とふと思う。全く違うジャンルで検索してやって来た方に,別ジャンルの記事が目に留まったりしないだろうか…と。所詮は自己満足に過ぎないのだが,その産物により誰かの関心の幅を広げたり,身の回りの世界の美しさ・魅力を少しでも気付かせることが出来ていたとしたら,それ以上に嬉しいことは無い。

 

岐阜駅付近の街並みの空気感と奥深い魅力が,少しでも伝わっているだろうか。

 

繊維問屋街散策へ続く。

 

 

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