梟の島

梟の島 -叙情的叙景詩-

-叙情的叙景詩-

水上逍遥(1):水上温泉中心街,恐ろしいほどの静寂。

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閑寂の温泉街。 2021.03.10 水上温泉

 


2021年3月10日(水)。中之条での現地実験の前日,公共交通が混雑しない昼前を狙って出発し,少しばかり群馬県内を散策することにした。

2月に病院に行くために隣駅まで乗車したのを除けば,今年初のJR乗車だった。ラッシュ時間を避けて出発したつもりだったのだが,新宿の階段におびただしい数の人が吸い込まれてゆく様を見て,緊急事態宣言とは何なのか,辟易としたのを記憶している。

しかし記録しておかないと記憶は薄れてゆくもので,東京駅から乗車した新幹線が11時半発だったかどうか,もはや定かでない。紙の時刻表を持っていないと,ダイヤ改正後の列車の時刻を遡って調べることも出来ない。その場その場では便利ではあるが,振り返る術がないというのは困ったものである。

新幹線の車中はほどほどに空いていた。1時間と数分で上毛高原駅に到着。

 

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良く晴れているが,風が強い。東京は春の陽気だったが,群馬に降り立つと空気の芯の冷たさに冬を感じた。

 

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駅のオブジェ。

 

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関越交通のバスに乗り換える。乗り換え時間は10分弱だっただろうか。新幹線と接続しているようだ。

 

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後部座席に陣取り,窓を空かせると,程なくして出発。

 

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窓ガラス越しに上越線沿線の景色を眺める。緑がかった色に写ってしまうのが悲しい。

「上牧上」という回文のようなバス停や,「下牧」という上牧の対義語のようなバス停は妙に記憶に残った。

 

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15分ほどバスに揺られ,「水上温泉」バス停に到着。温泉街は水上駅から1.5kmほど離れているので,上越線水上駅からアクセスするよりも,上毛高原からバスを使う方が圧倒的に便利である。

降車すると,日が翳ったせいか,上毛高原駅よりもさらに寒い。阿能川に掛かる細い橋から上越国境に横たわる山脈を見れば,雪を頂いている。とにかく風が冷たく,3月も中旬だが,春どころではない。

 

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細い道から,水上温泉の中心部に切り込んでゆく。

 

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温泉街の空気感は,嗅覚に。

 

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黄色~褐色の壁の家を見つけるとテンションが上がる。

 

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天野屋ホテル。営業しているようだ。 

 

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恐ろしいほど人の気配がない。

 

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風がゴウゴウと鳴る。

 

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米屋旅館。こちらも現役であるが,やはり人の気配が何処にもない。

 

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目抜き通りは後に回して,利根川沿いの藤屋へ。ここは廃墟だ。

 

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撮影していると,はじめて「第一町人」に出会った。訝しげに見られるかと思ったので先に挨拶をすると,「ご苦労様です」と声を掛けられた。

 

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錆。

 

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廃墟の温泉街というと鬼怒川だが,水上も相当「限界」である。どちらも東京からの小旅行で一泊するには丁度良い距離感なので,そこまで立ち行かなるとも思えないのだが,はて不思議なものである。人々はいったい何処へ行くのか…。 

 

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利根川上越線の間に存在する水上館。こちらは現役だ。

 

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最高の立地。

 

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橋のたもとにへばりつく建物。こちらは何だろうか。崩壊した様子が無いが,営業しているような様子もない。

 

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水上館を見上げる。

 

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湯原温泉公園へ。

 

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源泉。とてもぬるかった。

 

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目抜き通りに戻る。土産屋の「鈴木屋」は,シンボリックな存在だ。2015年までのストリートビューを見ると,2階のサッシが白く,レトロな看板が掛かっていたのだが,2018年までの間にリニューアルし(てしまっ)たらしい。願わくば以前の古びた姿を見たかったが,それは余所者の趣味者の邪な願望というものである。

 

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左手前の更地部分は,ここ2年ほどで解体されたようだ。トマソンは儚げに,亡き相棒を想う。

 

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螺旋階段と折り返し階段。

 

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雰囲気のある一角。

 

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スマートボール。レトロな看板に見えるが実は新しいらしい。2015年までのストリートビューでは褐色の看板に直で文字が書かれて(貼られて?)いる。

 

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人が,いない。藤屋の前の住民2人と,鈴木屋の前ですれ違った中東系の旅人3人組,COOPの配達員。20分ほどうろうろしているのに,この6人しか見ていない。

 

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この感じが儚い。

 

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坂を見遣る。一人,坂を下って行った。

 

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下調べによると左側の更地部分には,古い理容店の廃墟があった筈なのだが,残念ながら解体済だった。そしてその左奥に見切れているのが,高層マンション。この後も何度か構図に入り込んでくるが,この対比が極めて怖いのだ。

 

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こけし店と古美術店。 嗚呼,昭和の名残。

この坂が温泉街の終点。引き返し,目抜き通りの西側に並行する路地を歩く。

水上逍遥その2へ続く。

 

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