6月16日(水)。郡山での出張調査の前日に,福島県内を散策。磐越東線・大越駅の南側の名も無き商店街,磐城常葉駅前に続き,船引の街並みを歩いている。
▼その1はこちらから。
anachro-fukurou.hatenablog.com
さて,寄り道を終え,駅前の栄町サンロードに戻って来た。
壮観である。これが磐越東線の駅前に何百メートルも続く景色なのだ。
ポップなTOSHIBAの看板が目を引く。
一軒一軒の規模が大きい。
ところで,そもそも昭和テイストに重きを置いた街歩きを専門とするブログというものに,どうやって検索して辿り着いたら良いのか,未だに相応しい単語検索の方法が分からないのだが。船引の街並みを先人が紹介しているのはほとんど見た事がない。今回も下調べは空撮とストリートビューのみで,他人の紹介ブログやツイートをほぼ全くと言っていいほど見掛けなかった。
散策中も幾度となく「これは良いな…」「見つけちゃったな…」と呟いてしまった。
そして不思議な角度で「カメラ目線」を決めてくる酒屋がある。
最高の細道だ。
まさにこんな景色を求めていた。下関・新地遊郭跡に似た色気すら感じる。
青果店の奥には黒羽米店。
黄色の街灯はその3で紹介した「すずらん通り」と同じ物である。
細道の向こう側で突き当たるのが,すずらん通りである。右に曲がれば「ジョッキー」があるという位置関係だ。
ずっと眺めていたい,ずっと撮っていたい。そんな最高の一角だった。まさに「見つけてしまった」。
道の反対側から,引きで眺める。写真左側の写っていない所には田村市役所の真新しい建物があり,古びた商店街を見守っている。
間口の広い建物。中央から左は靴屋だが,右側はまた別の店舗だったのだろうか。2階の右側の窓は埋められていた。
山本印房。「印房」という言葉も,「美粧院」と並び,若い世代には馴染みの無いものである。
来た道を振り返る。ここまででも十分に重厚な街並みだ。
市役所前のT字路の西側は,道の南北に商店街が展開されている。
この界隈も交通量が多い。駅の方からバスが来た。願わくは,ここで方向幕の車齢30年近い古参車両にやって来て欲しかったが,重要な路線なのだろうか,若い車両が颯爽と走ってきた。
北側の街並み。こちらもまた重厚だ…。
「理容 好美」。アールの付いた入口,看板のフォント,全体の色調,褪せたサインポールなど,ここ1軒でも十分に絵になる。
商店と花屋。「鯉仔」もまた見慣れない単語だ。写真左手にはかつて呉服店があったのだが,残念ながら解体済だった。
一軒一軒すべて記録して回りたいような商店街だ。
矢吹時計店の素敵な店先。お爺さんが外に目を光らせていた。
交通量が少ない方が撮影には向いているが,多い方が街としての現役感・安心感を感じられ,それはそれで良い。
静かに朽ちてゆく。
来た道を振り返る。小沼肥料店,商店「あいづや」などが見える。
いよいよ駅に近付いてきた所で,4階建のビルの横に,目を引く古い建物があった。
嘗ては旅館「堀田屋」だったようだ。この右隣にも「山根屋」という旅館が軒を連ねていたらしいが,こちらは残念ながら8年ほど前に解体されてしまった。
船引駅。駅舎は随分と現代的な造りである。田村市船引コミュニティプラザを兼ね,スポーツジムが入っていたりするらしい。
堀田屋の裏面,こちらもまた旅館の建物だったのだろうか。
写真右手の道をそのまま進めば,その3のすずらん通り,「BAR シャトー」のある辺りに繋がる。
栄町サンロードを離れ,大滝根川を渡り,駅前から南北に伸びる県道19号を南に進んでゆこう。
良い緑,良い錆,良い階段。
そして良いカーブに,良い建築群。
建築物単体というより,こうしてやや望遠寄りの構図で,街並みとして撮影するのが楽しい。
「移ミシン商会」「わたなべ精肉店」。
石井建具店。
北を見る。バシッと真っ直ぐな道もあれば,このように緩やかに曲がっている道もある。船引町,被写体として緩急があり,最高の街である。
現役の旅館「松月」の向かいには,嘗て電気店だったと思しき建物があった。
佐久間農機店のタイルは,随分とうるさいデザインだった。
緩やかなカーブ,緩やかな坂。
大滝食堂。暖簾は掛かっていたが,果たして営業中だったのだろうか。
県道19号は,この船引駅入口のT字路で国道288号にぶつかる。これで街を一巡した格好になる。
出発時に撮影しそびれた現役の商店「まつや」。
イマ美容室の美しい看板を最後に撮影し,船引の散策を終了。
4記事にわたり,計130枚超の写真を紹介してきたが,この船引の美しい街並みの魅力を十分に伝えきれなかったように思う。実際に自分も現地で,下調べを遥かに超える感動を味わうことが出来たので,機会があれば是非とも訪れてみてほしい。
そして今回は天候に恵まれなかったので,願わくは晴れた夏の夕暮れ時に再訪して,蝉の声を聴きながら,西日に染まる街並みをじっくりと堪能してみたい。
三春町・庚申塚遊郭跡~三春町役場に続く。
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