三角形の街。 2016.05.01 旦過市場
2016年5月1日(日)。熊本地震から2週間が経ち,研究室単位で建築学会主催の現地調査に参加することになった。決して気分の晴れない遠征だが,調査は2日からだったので,せめて前日はひっそりと非日常を味わわせてもらうことにした。相も変わらず飛行機嫌いなので,新幹線で遠路はるばる東京から5時間の旅路。15時半頃に小倉に降り立ち,北九州モノレールに乗り換え,旦過市場を目指した。
モノレールの旦過駅にて。少し背伸びをしてホームの窓から西を見下ろすと,時計の針は猛烈な勢いで逆回転してゆく。
空撮で見て取れる通り,南側には二重の三角形のような形で建物が建ち並んでいる。
傾き始めた晩春の陽射は,期せずしてセピアの演出となる。
駅の階段を降りると,さっそく「外側三角形」の斜辺にあたる場所に出る。垂直はどこにあるのか。
「くればわかる」と。はるばる1,000kmの旅路を経てやって来たが,何が分かるか楽しみである。
斜陽が似合う街並み。
東西に走る中央の道で,お馴染みの看板と対峙。期待に胸を膨らませながら,いざ内部へ切り込んでゆこう。
想像以上に階高が高い。
褐色の集合体。
サッシが木の建物もある。年季の入り方もまた想像以上だ。
万国旗は,かなり高い位置に掛かっている。60年の歴史とともに色を失い,小向マーケットと同じような色に。
メインストリートに入り,北へと歩いてみる。日曜の16時半,買い物客は少しずつ減り始め,店は徐々にシャッターを下ろし始めていた。
ここはスチールサッシだろうか。
リポビタンDの発売は1962年らしい。そんなに古いものではなさそうだが,君はいったいいつ頃からそこに居るのか。
市場の中には肉屋が多かった印象だが,とりわけこの戸根食肉の建物が目を引いた。店舗によっては,やはりモツの類が充実していて,地域性を感じる。
小文字通りとの街角。森下フルーツの店舗からは,ほのかに甘い香りが漂う。
レトロなビルが目を引く。丸源19ビル。億万長者・川本源司郎の脱税事件があり,その影響もあるのか,或いは消防法違反の件なのか,現在は廃ビルの様相であった。
振り返る。
時代のパッチワーク,北九州の台所。ここからは,メインストリートを南へと戻ってゆこう。
鯨を扱う店も,時代性,地域性を感じる。このほかにも何店舗かあったように記憶している。
「ふぐ」もまた地域性を感じる。
果実店。
こちらもふぐを扱う店舗。
撮影を続けている間にも,みるみるうちに人通りが減ってゆく。
初めに入って来た東西の道とのT字路。
地名は「魚町」。
からあげ店。
緩やかなカーブを切り取る。
黄色い装テンが並ぶ。鮮魚店も非常に多い。
暗喩。
嘗てのバス停がある。ここの店舗は「大學堂」,北九州市立大学の学生が運営に携わっているのだとか。
大學堂の前では,老人たちが将棋に興じていた。
旦過中央市場への道が,ぽっかりと口をあけている。どうやらここが,内側の三角形へのアクセスルートのようだ。
木製の棚が渋くて素敵である。
餅菓子・赤飯の岩田屋。ちょうど端午の節句に近いので,笹の葉に包まれたちまきが店頭に並んでいた。一つくらい買えばよかった。どうも撮影の際には食べ物への意識が低すぎる。とても良くない傾向である。
「旦過商店街」という名称もあるようだ。全く真相は定かではないのだが,内側の三角形が旦過中央市場,メインストリートは旦過商店街,という事なのだろうか。
ガラガラガラ…と,シャッターを下ろす音が時折聞こえてくる。
もう一つの旦過中央市場への入口はシャッターが下りていた。日曜日は開けていないのだろうか。大學堂の近くの入口が開いているうちに内部を撮影しよう。
その2へ続く。
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