閑寂の柳ヶ瀬センター。 2021.10.08 岐阜・西柳ケ瀬
10月8日(金),岐阜出張当日。午前中は金津園・国際園跡,日ノ本町,繊維問屋街を散策。仕事を終えた後も再び街に繰り出し,夕刻の西柳ケ瀬を歩いている。
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さて,日没が近付いてきたが,明るいうちにどうしても撮影しておかなければならない場所がある。
そう,柳ヶ瀬センターである。
再開発の足音が忍び寄る柳ケ瀬の街で,2021年まで生き延びてきたことに感謝である。
薄暗い路地にお邪魔しよう。
濃密な空間のはじまり。
This is what I wanted.
狭隘な路地の豊かな表情。
この密度が堪らない。
薄暗さも相まって,撮影の腕が鳴る。
撮影は可能だが決して全容が見えない,この感じ。
時間旅行。
お茶漬けの店らしい。
苔の印象。
2階に窓が見えない。
看板の跡,点らぬ蛍光灯。
レンガ風のタイルの貼られた店舗。
振り返る。
剥げかけの塗装。
目を凝らすと扉があった。肉眼でもかなり暗かった。
突き当たりが見えて来た。
これまで歩いて来た道なのだが,入口側を見ると心なしか情報量が少なく感じられた。
突き当たりを左に曲がると,屋外空間となっていた。
撮影順とは異なるが,その1で「一刻館」のある道を歩いた時に撮影した一角が,ちょうどここにあたる。
朽ちかけている建物は,四日市の三和商店街を彷彿とさせる。
この道の感じからは,立石の呑んべ横丁を思い出す。
ブルーシートで覆われているこの状況からして,未来はそう長くはないのかもしれない。
限界状態の隅角部。
T字の交差点を右へ。
さらに薄暗い。
看板のデザインは共通。
人の気配はほぼ感じられないが,実際のところどうなのだろう。
ポリカ板も抜け落ちていた。
曲がり角を曲がって初めて,2階のディテールが良く見えた。
裸電球。
いよいよ日没を回り,撮影の限界が近い。
35mmF2に付け替えて,最後の一足掻き。
あれだけ晴れていたのが嘘のような,青白い黄昏。
本来ならば街が目を醒ます時間だが,その気配は無い。
ただただディテールが宵闇に溶けてゆく。
35mmという画角,狭い路地を撮るには悪くない。
惜別の時。
立体的な看板。側面に店名が書かれていた。
入口付近の家の方が電気を点した。
折角なのでもう一度中へ。極端な陰翳が構成されていた。
T字を曲がった短辺側の道も,蛍光灯が点っていた。
さて,夜通し真っ暗ではないことが分かりはしたものの,このあと店が営業を始めるのかどうか…。また夜に再訪する機会があるのか,或いはその前に寿命を迎えてしまうのか。すべて一期一会,名残惜しいがこれにてタイムアップである。
スタープレイス側の入口も同じような看板があるが,周辺のけばけばしさに比べるとその印象は控えめで,気付かずに素通りしてしまいそうだった。
柳ケ瀬散策その3へ続く。
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