7月12日。翌日の浜松出張の前夜,富士の工場夜景を撮る。清水在住の旧友に急遽駆け付けて貰い,談笑しながらの撮影である。雨はなく,風もない。夕空に低く垂れ込めた青灰色の雲は,工場を「悪く」見せる格好の背景画となった。
折角の機会なので,2人で記念撮影。本当ならもう少し明るいタイミングで撮るべきだったが,これはこれで面白い記録となった。
7月上旬,曇天とはいえ日没が遅く,夜の帳はなかなか下りない。7時半を回った頃,いよいよ空は青灰色から紺へと色を変え,夜景が始まった。
プラントの金属光沢が,艶やかに見えてきた。
前景の柵を,敢えて残してみる。
橙色に輝くプラント,光跡とともに。
微風なので,望遠構図も極めて容易である。何といっても,明るい。
面的に展開する被写体。切り取りようは幾らでもある。それに,撮影は防波堤の上の道路からであり,撮る側の視点も自由に動かせる。もはや構図は無限に存在しているといっても過言ではない。
東側の「マス兄弟」。建屋に覆われた部分と剥き出しの部分が混在していて面白い。
中央のプラントの正面に回り込んでみる。
正対すると奥行方向への印象は薄れるが,中央の蒸留塔(だろうか?)がシンボリックに,漆黒の空に浮かび上がる。
その鉛直性を捉えるために,限られた時間の中ではあるが,縦構図も1枚。
西側のプラントを,東側からやや角度を付けて見る。手前のタンクにも味がある。
この工場で最も見応え・撮り応えがあったのは,この中央の蒸留塔下のカオスゾーンだった。
入り組んだ配管,その立体性に惚れ惚れしながら撮影してゆく。
3兄弟。どれも僅かではあるが傾いており,何だか人間的で微笑ましい。
プラントの中央部右側はやや緑がかっており,橙の蒸留塔とは異なった印象を与えてくれる。
東から2番目の「マス」の上部のみを切り取ってみる。2:3の絵に丁度よく納まる。
最東部。明暗がはっきりしており,コントラストが強かった。
最後は更に視点を東側に移動して,プラント中央部をやや斜めに見る。階段の手摺の細い線が際立ち,繊細なイメージ。その線の多さはまるで和風建築のようだ。
最後の最後まで,良いアングルが次々と見つかる。何度か通ったとしても,毎回発見がありそうなくらい,構図の自由度の高いプラントだった。
少し角度を付けた解剖構図で,締めた。
20時過ぎまで付き合ってくれた旧友に感謝である。散会の後,片や西へ,片や東へ。それぞれ国道1号線の逆方向へと別れ,続いては一路,富士川の河口東岸にあるポリプラスチックスの工場を目指した。
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