仁王門の向こうに,色彩が待つ。 2019.11.23 小浜・妙楽寺
福井県小浜市の古刹を巡る旅。まずは飯盛寺(はんじょうじ)へ。
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飯盛寺を後にして,続いて妙楽寺へと向かう。到着し,駐車場に車を停めると,その横のグラウンドでは小学生くらいの男子がサッカーの練習に励んでいた。受付で案内を受け,橋を渡り結界・仁王門を見遣ると,その向こうには趣深い参道と紅葉,絵画的な世界が待っていた。
先客が門の向こうで右手の林を見ており,何かと思えばサルが木の上を渡ってゆくところだった。
まずは自由に撞いて良いという鐘を撞く。やや小さいので音色は甲高く,音質は単音に近い。鐘楼と地蔵堂の間に立つ紅葉の赤色がとにかく鮮烈であった。
そして,満を持して本堂。鎌倉時代末期建立の五間堂,檜皮葺の寄棟屋根が緩やかで,実に優美なシルエットだ。
飯盛寺が比較的ポップだっただけに,その落ち着き払った様が際立つ。
個人的に大好きな湖南三山・長寿寺本堂と似たような佇まいにも見えてくるが,こちらのほうが白く,屋根の曲率半径が大きいように感じた。
ご本尊は二十四面の千手観音像で,こちらも重文指定を受けている。長い間秘仏とされていたこともあり,長い月日を経て今なお金色に輝いていて,極めて絢爛な,存在感のある仏像である。個人的には「二十四面」は初めてお会いしたが,類例はあるのだろうか。
境内は比較的小規模で,自分好みのサイズ感であった。そしてその中に自分好みの空間が凝縮されており,とても好印象の古刹であった。
神宮寺へ続く。